『ブラックジャックによろしく』によろしく
第55話(がん医療編・14)「最初の患者」

2003/06/11

      ・・・
「第55話 最初の患者」

皆さん、こんにちは、えれです。
またこんなに時間がたってしまいました。
何たって、次の号が出るのが明日です(^^;
本当にどうしようもないなーと思いつつ、今日も参ります。
あと、今回わたし自身の話が少し多くなると思いますがどうか
ご了承下さい。


「私 300万円持ってます」
ここで、御都合主義だとか、普通のOLがそんな金持ってる訳
ないとか読んでて思った人もいると思う。
でも実は私自身がこれと似たことを去年やったのです。
300万も持ってた訳じゃないし、言葉も少し違うけど先生に言ったんですね、
「OLの時に溜めたお金があるのでそれで治して下さい」って。
(これがまさしく私がこの漫画に惹かれた理由です。自分自身のやまい
という。直接は友人に薦められたことがきっかけなのですけれども、
それがなければここまでのめり込むことはなかったでしょう。
また、一応ですが私の病気はがんではなく(これは偏見を避けるためでなく
読んで下さるかたが心配をしないように書きます)私の夫が全く手を
こまねいて無慈悲にも何もしなかった、というようなことはないので、
その辺は誤解のないように書き添えて置きます(^_^))

だからここは非常にすんなり理解できた。
同時にこのシーンはとてもつらかった。

私は自分の時、ああ、この為に自分は(もういちど未来を作る為に)
お金を溜めてたんだなぁと思ったのだけれど、これは児玉さんの
未来の為に使われる筈のお金だったのに。


それでも…児玉さんは後悔しないだろうか?
物事には「しがい(甲斐)」、「しどき(時)」というものがある。
「生きたいんです」と宣言したその時のように、納得して選んだこと
ならば悔いなくいけるだろうか?


そうして親しい人々は彼女から距離を置きはじめる。
彼氏は(多分児玉さんが結婚を考えていたであろうその相手)がんが
分かった途端「自分が待っていたら治療に専念できないだろう」とかいう
訳のわからん理由で去っていき、両親は娘に顔を合すことができない。
(これは金子老人の息子夫婦の場合と似てますね)


例えどんなに重篤でなくても、病気を持ち出されると人は引いてしまう。
私も幾つか似たような体験をしました。

本当に、どうしていいかわからなくなっちゃうんだよね、きっと。
私も、立場が違えばそうだろうと思うし、今だにどういう接し方がよいのか
なんて、ほんと、わからない。

そうした人のことを全然責めていないし、また、聞いても全く動じなかった
人たちには本当に感謝感謝、心から感謝しています。
そして、現在の自分の状況をきちんと説明できなかった方々に対して本当に
申し訳なく思っています。


さて、ついにジェムザールによる治療が開始される。
次からは凄絶な副作用との戦いが始まると予測されて少しつらい。
でも、次回ではいったん視点が現在に戻って来るのでは…などと
考えるのはこれは少しうがった見方でしょうか。

ジェムザールの落ちてゆく音を聞きながら児玉さんは思う。

「みんな見て…… 私を見て……」

まだ死んでいない、生きている、自分を見て欲しい。

「人間ってそんなに強いのかなあ……」

両方だと、思うよ。

戻る