『ブラックジャックによろしく』によろしく
第65話(がん医療編・24)「真実の告知」

2003/09/09

皆さんお元気ですか?えれです(^_^)
単刀直入に言いますと、もうここからは
人生経験がものを言う領域にかかってくるなという感じがしています。

昔物理の授業がありました。
そこで何の話だったのか、先生が末期ガンの患者さんの話を出されて言うことには、
人が死を迎える時、かけてあげられる言葉は
「うん、僕も(いつか)死ぬから」
以外にはないと言うのです。
「うん、今じゃないけど僕も死ぬよ」
「みんな死ぬ、いつかは」
これ以外今死にゆくことから逃れられない人の心に有効な言葉はないと。

「がんばりましょう」
「申し訳ございません」
「僕が治します」

どれも言ってしまう言葉ですよね。
そのなかで庄司先生と斉藤君の言葉は一見対立するようでいて、何かの
シンフォニーを奏でているように見えます。

今回は、すぐに参りましょうね。

・死の階梯

ここで言われる「死までに辿る5つの段階」とはキューブラー・ロス女史のまとめた
「死への心理の5段階」(死を受け入れ、死に至るまでに経る5つの段階のこと。
もちろん、すべてのひとが順序良くこの過程を辿る訳ではないがほぼこの形に
収束するらしい)だと思います、すなわち、

1.否認と孤立
2.怒り
3.取り引き
4.抑鬱
5.受容

(『死ぬ瞬間−死とその過程について』E・キューブラー・ロス 中央公論新社
本当はこの本を読んでから書きたかったんですが、注文してまだ届いて
いないので、書籍紹介ページより抜粋しました。)

上の5段階の言葉を私なりに平易に直させて頂きますと、

1.ウソでしょ…?これはウソなんだ、みんな私をだましているのよ。
2.なんで私だけが!何も悪いことしてないのに…
3.命が助かるなら何でもします。
4.疲れた…もう何もかもどうでもいい。
5.静かだ。もう心を乱すものは何もない。私は死を、運命の全てを受け入れます。

…というところでしょうか。(ちょっと5番は自信がない)
ちなみにこれをモチーフにしたお話に大島弓子先生の『雛菊物語』があります。
(朝日ソノラマ 大島弓子選集・第8巻所収。)
ヒロインはある事が原因で自分が死ぬと思い込んでしまうのですが、興味の
あるかたはぜひ読んでみて下さいね。

なお、この5段階は患者(当事者)だけでなくその近親者も通る過程だそうです。
辻本・夫さんの行動も思い返せばこれですね。

斉藤先生は、5番目の段階が来るなんて間違いではないか(そうあって欲しいと
いう周囲の願望ではないか)と言っていますが、私は実はこれはちゃんとあるだろうと
思っているのね。

まぁ、それは置いといて。

・膨れてゆくモノ

私実を言うと次号読むのがこわいのね。
ぞっとしたから。
(この、読者がページをめくるのと主人公がドアを開けるという動きが一緒になるというのは
昔からあったことなんだけれども、久々に漫画というものの表現の真髄を見た気がしました。)

医者は肩書きではない。
患者を持つのが医者だ、と私は信じている。
例えそれがたった一人の患者でも、その為に戦うのが医者であれば、
斉藤先生は医者だ。

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