『ブラックジャックによろしく』によろしく
第73話(がん医療編・32)「あなたが教えてくれた事」

2003/11/23

「第73話 あなたが教えてくれた事」

皆さん、お元気ですか?えれです(^_^)。
さていつもわたしはこの文章を、いつも掲載させて頂いている量の大体三倍ぐらい書いて、
最後にざっくり三分の一程度に削るということをしています。
(いつもでは、ないですが ^_^;)

そのぐらいの量が分量的にも言いたいことを伝える為にも適度だと思うからです。
ですが今回は最初に、私がアホゆえに(いや、本当のアホだ…)今の今まで気づかなかった
大誤算についてお話させて下さい。
それはもしかして、もしかしたら、この文章を今これから死にゆかれるというかたも
読んでくださっているかもしれないという可能性を全く考えていなかったという
ことなのです。

わたしは前回の感想を、心から書きました。それはウソではありません。
けれども今死にゆくひとの心に、「星の時計の中ではいつも今だ」と言って、どれほどの
意義があるでしょうか?
いきなりにそれは幾らなんでも無茶で乱暴だったのではないか?
自分が先走ったかもしれないことの反省も含めて、今週はずっとそのことを考えています…。

それでも、どうか第73話の感想に、今回もおつきあい下さい。


・いたわり

庄司先生の判断のもと、退院していく辻本さん。

車中で、夫妻が話していることは、ほとんど相手を自分に置き換えただけで、
同じ意味のこと。

そして訪れる団欒。子供たちは一瞬がどれほど尊いか後で気づくだろう。
でもそれで今はいいんだよ。

・「教えてくれたのは、君だよ」

人生が切り変わる音が確かに聞こえる時がある。
それが聞こえたんだね。

TS−1の使用は辻本さんの痛みをやわらげ、それは抗がん剤の使用に頑なだった
宇佐美先生の心をも変化させる。
けれどもそこには心を聞いてもらうことが症状の安定を招くという意味もあるのかも
しれない(決して止る訳ではないのだが)。

私には、一度だけ、死ぬのが怖くなかった時がありました。
それは絶望しての事ではなく、自分の行為に心から満ち足りていたからでした。
その時死ねたら多分最高の終わりだったんでしょうけれども(^^;。

そして、時間がたつごとに、次第に心はいつもの煩悩へと戻っていきました。
この慣れ親しんだ悩みや、世の中の暮しに。

私は以前も、「その時」が来るまでは生きねばならないと言ってきました。
それは、人間にはそれぞれ持ち場があると思うからです。
私の人生、それが私のこの世界での持ち場です。
放棄は可能な限りできません。

私もいつか死にます。
でもそれは今ではありません。
どうか、まだ生き続ける私を許してください。

……。

そして語られる彼女の死。

死は眠ることではない、けれど。

おやすみ。

おやすみ、内海さん。

おやすみ。

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