『ブラックジャックによろしく』によろしく
第10巻まとめ

2004/10/25

※思いがけず10巻以降のネタばれが起こっていました。どうかご注意下さい。本当に済みません。

(以下は、『読書の森』第10巻レビューに載せる予定のものと同じものです。)


「いかんせん未完成」

こんにちは、えれです。
頭の中を、エレクトリック・ギュインズの『さくらの唄』がぐるぐるまわっています。
掲題はその中の歌詞から取ったものです。

私がこの曲を知ったのはつい最近のことですが、
この唄が似合う、この唄を聴くにふさわしい頃の年齢から、自分がなにひとつ
変わってはいないことを痛感します。

段々レビューにもならなくなっていっていて大変申し訳ありませんが、
また、本文で伝えられなかったことを少しだけ書こうと思います。


まだ単行本に未収録の部分もありますが、今巻とそれに続く数話を含むストーリーは、
結果的に私に驚きと決定的な敗北感をもたらすものでした。
それは非常に陳腐な言葉で言えば「社会の壁にぶつかった」というようなことです。

医者とは何か、これはそれを問い続けている漫画です。

そしてその感覚は、とても身近な例となって現れました。
もし私の知る医師がこのようなことをしていたとした場合、自分はそのひとを
尊敬し続けられるのだろうかと。

そして私の思う医師像とは、誰かの言いなりにカルテを書くような人物ではない。
(がん編でカルテを詐称するのとどこが違うのかという声もあるかもしれませんが)

医師やそれに類する職業のかたたちとは、言わば私たちが最後に頼りにする砦のような
存在ではないでしょうか。
しかしそこにどのような慣例があったとしても、(あるいはもちろん保身のためでも)
そういうことが日常茶飯事に行われているとしたら…

そして私たちも、これほど大きくはなくともちょっとした「不正」に慣れて
しまってはいないでしょうか?


本当はこういう類の裏話はすべきではないのですが、今回に限って申しますと、
特にアクセス数が沸騰したのが第96話、hitは一晩で4,000件を超えました。
カウントし始めてから全アクセス数の約6分の1がこの話題だったことになります。
私は本誌を未入手だったので、一体何が起きたのか分からずぽかんとしておりました。


私はこの犯罪の被害者、遺族であったとしても同じ論調が続けられるかと何度も
自問しました。
第96話の描写は激しすぎるという意見もあることはわかりますが、
これをのちの主張の「前」に持ってきた、そして誤解を恐れず言えば
凄惨な描写もためらわなかった佐藤先生の勇気には敬服するほかありません。
あきらかに私自身の論旨もゆらぎそうに、いや一旦はゆらいでしまったからです。
ですから、これは絶対に必要な場面であったと私は申したい。

でもやはり96話の話だけではだめなのです。
96話で驚きを感じた人はどうか続けて読んで欲しい。
それに続く「伝えたいこと」を汲み取って欲しい。
本当に心からそう思います。


私はあの頃と何も変わらない。
生意気で誇大妄想狂で自分にできないことは何一つないと思っていた頃と変わらない。

まっすぐな思いさえあれば、それを守っていく鉄の意志さえあれば最後には自分たちが
勝つ(報われる)のだろうか?

そして今もあほみたいなわかぞうのりそうを吐く。
(ほら、負けずぎらいだからね^^;)

でも一つだけわかったことがあるよ。
くねくねと曲がるのは、まっすぐになりたいからなんだと。

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