『ブラックジャックによろしく』によろしく
第12巻まとめ

2005/10/05

・誰のためでなく誰かのために

さて、ブラックジャックによろしく第12巻です。
広告によるとどうやら次の巻で精神科編は決着するみたいですね。
本編のほうのお話も、かなり佳境に入ってきました。
まだあれやこれらが、そんな短い時間で帰結をみるのかとの思いがありますが、
ここは差し出されるものを受け取って見守っているしかありません。

さて、小沢さんが追いつめられ、とうとう悲劇が起きてしまうのがこの巻です。
実は、単行本になったこの内容がどうしても読めなくて、読めなくて、こんなに
まとめるのが遅くなってしまいました。

各話の感想はそれぞれに書いたものの通りです。
どの感想の中にも迷っている私がいます。
そして、今回ばかりは、もし良かったら、全話の感想を通じて読んで、その時々の
揺れ動く自分はすべてそこに書きましたから(長いので大変ですが)
その迷っている私をどうか感じとっていただけたらこんなに嬉しいことはありません。


人は人によって物事の受け止め方が違います。

ある人にとって簡単なことが別の人にとっては悲痛なほど難しいこともあるでしょう。

「そんなことは無理だよ!」
となじられるようなことも書いてしまったかもしれません。
それが今の私の心配のひとつです。

私には言葉以外の表現方法がなかったし、すべてを言葉で超えたかった、それは不可能では
ないと思っていたけれど、いつも目の前に厳然とした事実があり、まだそれは可能になって
いません。

夜の街をあてどなく走る小沢さんの目にとらえられる『危険』『禁止』『止まれ』『NO』
の文字が私にそれを教えます。
肯定の「YES」が揺らぐことなく小沢さんの目に入ってくるのはいつのことなのでしょう?

そばで見ている私たちには小沢さんに起こった一部始終が分かるのに、周囲の人には
分かったとしてもせいぜいきりとられた一断面しか分かりません。普通の場合は何故そのような
経緯に至ったか分からないか、精神病(しかしマルセーという言葉は本当に腹が立ちますね)
だからということで片付けられてしまうのがいいところです。

だから報道はあるのだと思いたいし、記者という人たちがいるのだと信じたいです。

例えば座って誰かと話をしている(相手が精神科医でもよい)。どこかから電話がかかってくる、
そして告げられる、確認の電話が、それと分からせる、そんな世の中はいやなんだ。

今もどこかで苦しんでいる人たちのために、誰にも理由を理解されず命を落とす人のために、
あなたにそこにいて欲しい。
無力でも私はただ願っている。
誰のためでなく誰かのために、あなたにそこにいて欲しいと。

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