『新・ブラックジャックによろしく』によろしく
第13話(移植編・13「雪景色」)

2007/05/28

え…えれ。当サイト管理人。 た…たいちょお。道連れの人。

え「今日はお疲れのところありがとうございます〜」
た「いえいえ、お互い様。でもどうしてまたこれ? もしや前回に何か…。」
え「いえ、あの、前の回がちょっとだけ好評だったんで、またやってみようかと。
   本当に、ほんのちょっぴりですけどね。それにディスカッションしたほうが
   意見も出やすいですし」
た「もしかして自分で考えるよりこうして書くほうが楽だからじゃないだろうね」
え「…………。」
た「なんでこっち見ないの」
え「え…えへへへへ」
た「なんだそれは」
え「まあまあ、とりあえず行きましょうよ。それで今回、枕、というんじゃないんですけど
  ちょっとお話したいことがあるんですよね」
た「ん、何?」
え「ちょっとここで別のマンガ作品を引き合いに出すべきではないかとも思うんですが、
  今話題の『鈴木先生』というマンガなんですけど」
た「ああ、えれが絶賛してたやつね。あれは俺も一応面白く読んだ」
え「で、友達がこれは教師版『ブラックジャックによろしく』だと言ってくれて、」
た「う〜ん、確かに、そう言えなくもないな」
え「で、その『鈴木先生』なんですが、好意的な評価ばかりで今まで悪評というのを聞いた
  ことがなかったんですね」
た「うんうん」
え「それがこの間かなりとんがったレビューを見つけまして、」
た「ほう」
え「ちょっと立ち入った論議にここではできませんが自分でもかなりフェミニストだと私は
  思っていたんですが、そこには主人公の鈴木先生の男性主義、産ませる性の側と産む性の側の
  意識の乖離が問題とされていました。」
た「ああ、“教育的指導”。」
え「それです。で、その意見は本当に初耳だなと思って、確かに、名だたる論客が解説を書いて
  いますが女性はひとりもいない。」
た「うん」
え「で、『鈴木先生』を肯定的に受け入れる層というのは『ブラックジャックによろしく』を
  同じように受け止める層と重なる部分があると思うんですね。」
た「それはありえるだろうね。」
え「で、実は『ブラックジャックによろしく』にももちろん批判はある訳なんですがここでは
  あえてそれを取り上げないできました」
た「それを疑ってみようかという話?」
え「そこまで行けるかわかりませんが。『鈴木先生』の面白さというのは今まで見たことが
  なかったものを見せられた、ということによるのも大きいのかもしれない、私なんかは
  面白ければなんでもいいと思ってしまいがちなんですが、面白ければ何でもいいのかと、
  自分は何か見落としているところがあるのではないかと、そういうことに注意して行きたい
  訳です。」
た「うーん、ここで言うのははずれるかも知れないけれど、えれのお父さんは深夜の病院で
  研修医さんに看取られながら亡くなった訳だよね。そのことについてはどう思ってる?」
え「いや、それはどんな先生がいても無理だったでしょう。彼女じゃなかったら父の寿命が
  伸びた、とも思えません。だからその件に納得がいっていないということはないですよ」

た「そうか、じゃだいぶ時間もとったから今回の話に行こうか」
え「はい、今回の話ですが…気が重いですね。」
た「ふう。赤城さんはすでに移植をしていた、そしてそのドナーはお父さんだったと。」
え「これをくつがえさせるのは難しいですよ。」
た「くつがえす…くつがえす、再びその気にさせるということ、無理だな。」
え「はい…」
た「なんだかさっきから溜め息しか出ないね。」
え「すいません」
た「この期に及んでこんなことをまだ言うか…、と、赤城さんはすべて承知の上だったんだね」
え「この頃、自分の体験もあっていのちとは何かということを考えるんですが、こうもやすやすと
  いのちを取って行くものとは何だろうと、何が決めるのか? 何故選ばれるのか?
  赤城さんは残りの9人の一人の内に入れなかった」
た「親なら、何でもしてあげたいって思うけれど、」
え「できないこともある。案外、力って出ませんね」
た「よし、じゃあ今日の気になる一コマ、行こう」
え「えーとわたしは、第8ページ、上のコマ、真剣な顔で言い募る斉藤くんを冷めた目で見つめ
  返す、いや、これは見ているのか? 見ていないのか? その赤城さんの表情ですね。」
た「俺は見ていないと思う。二人の視線は完全に…(定規を合わす)それてはいないか。
  でも、見ていない」
え「斉藤くんは理屈ではもう赤城さんの気持ちを突き崩すことはできない。としたら
  どうするか。」
た「う〜ん、30号までか、長いね」
え「あと何かありますか」
た「うん、やっぱり俺は赤城さんの両親の気持ちが染みるね。あとかなり先だと思っていた
  腎移植のシーンがもう出てきたことに驚いた。」
え「あ、それはわたしもびっくりしました」
た「あと、俺の一コマはこの雪の北海道のシーン。胸に迫る」
え「それは出ると思ってました」
た「そう?」

2007,28,May

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