『新・ブラックジャックによろしく』によろしく
第16話(移植編・16「心象風景」)

2007/07/26

(わたしの頭の中ではずっと土曜日に観た映画の『アヒルと鴨のコインロッカー』で
聴いた「風に吹かれて」が流れている。亡くしたねこ、今預かった新しい命(ねこ)
の不調でわたしたちの心は少しだけすさんでいる。)


え…えれ。当サイト管理人。 た…たいちょお。道連れの人。

え「…………。」
た「…………。」
え「…………。」
た「どっちかが話し出さないと始まらないよ(笑)」
え「はい、えーとね、今回は始まり方が新しい感じを受けました。」
た「手を変え品を変え魅せてくれるね」
え「あの、『ブラックジャックによろしく』は青春マンガだって持論としてずっと
  言い続けてきてるんですけど、その色がいっそう濃いですね。いや、断定じゃなくて
  とにかくわたしはそう思った。話がね、医者としてどうあるべきかもそうなんだけど
  もう“生き方”まで行ってしまっているのね。そう強く感じた。」
た「で、もう出るけど。「私と彼女とどっちが大事…?」」
え「はい。」
た「もう究極的にはそれなんだろうなぁ。」
え「不思議な話なんだけど斉藤くんはフラットなキャラクターで連載が開始してから
  ほとんど性格・考え方に変化がない。まわりでどんどん成長して行ってるのは
  赤城さんや皆川さんですね。今回改めてその思いを強くしたんですが…」
た「まあ彼は主人公だけど狂言回しだからね。多分に…。」
え「あ、やっぱりそう思います?」
た「そう思います(笑)。こう考えると斉藤は随分タフな男ということになるけど
  それは置いといて、斉藤はつきつけられた問いに返事ができない。やはりえれの言う
  フラットな(?)成長のないキャラクターであることが露呈している。それは同意。
  で、ふたりの境遇に関する違いというのがあきらかになってくるわけだけど」
え「うーん、これはね…ちょっと読んでて厳しかったの、わたしは。
  つらさは比べることはできない、というのはわたしの尊敬するひとの持論なんだけど、
  何がつらいかは人それぞれで異なる、たとえ同じ目に合っても楽な人は楽、苦痛な人は
  苦痛、このみぞが埋められない限りは「つらさは比べることができない」ということを
  覚えておくしかないんですよね。」
た「斉藤にはそれがわからない。だから赤城さんの心にも入り込めない。」
え「で、皆川ちゃんに視点が移りますけど」
た「ここでも苦闘している人間が一人、多分今の斉藤では皆川ちゃんの心に入ることも
  無理だろう。」
え「しかし今さらなんですけど看護師の仕事はキツイですねー。わたしの母は看護師志望で
  結局断念したんだけどなっていたらもっと身近にこの仕事のことが分かったと思う。」
た「ああ、えれのお母さんならできるだろう(笑)でもこの、“自分しかいない”という
  思いを持って職業に当たれるというのはいいね。少しうらやましかった」
え「いえ、きっと自分にしかできないことがありますよ。たいちょおにもわたしにも。」
た「では今回の一枚だけど」
え「わたしの一枚はもうこの扉のページです。」
た「そこ来るかー。確かにはっとするよね、これは物語が始まるんだ!、いや始まってるんだ、
  そして続いている…という想いを深くしてくれる。」
え「たいちょおの一枚はわかりますよ。」
た「えっ、本当!?」
え「皆川ちゃんがガラス越しに自分を見る見開きでしょう」
た「残念、ラストの皆川ちゃんの決意のシーンでした♪」
え「ううっ…」

2007,23,july

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