ギターの音は星々の溜息

2000/04/17

4月14日に名古屋「トクゾウ」で行われた高野寛ツアー”double Oh”
についてちょっとだけ書きます。

当日集まったお客は推定150〜200人の間、ライブハウスですゆえ私たちの
後ろからは立ち見という席でした。

ツアータイトルの”double Oh”(00) とはお気づきのように西暦2000年
を表したもの。高野くんには90年代に入ったとき”Cue”(9)というアルバム
を発表した経緯があり、またインドに傾倒する高野くんらしく、ここにはゼロ
という概念を生み出したインドに敬意を表する意味がこめられている、と
ツアーパンフには説明されています。

普通アルバムツアーだとそれがメインに演奏されるものですが(そういうのも
もちろんいいですが初めて行く場合であったりすると旧い曲も聴きたいもの)
今回は違うということで新旧かなりバランスの取れた演目であったと思います。
手前勝手な感想を述べると私の好きな曲ばっかだったので嬉しい(^_^;)

様々な楽器が配されているためバンドと来るのかな、と思っていた高野くんは
何と徹頭徹尾たった一人なのでした。
最初はやはり少し硬かったのが、ギターソロが終った辺りからがぜんのり始め、
謎の楽器テルミン(初めて見たぞ!)を操り唄う。
一人で二時間半を演じきる内には、上にあげただけでなくハーモニカ、ピアノ
(高野くんがピアノも弾くことを初めて知りました。)口笛も交え、そのルーツが
垣間見られる師匠の歌や、今回のライブ用に作ったという歌もサービス。
そしてもちろんタカノと言えばギター、ギターと言えばタカノ(多分、笑)(^^;
そのギターテクは会場にお集まりしギターっ子たちにも大満足の内容だったと思います。

さて、私はずっとファンでしたが生の高野くんを見るのは初めてでした。
(だからもちろん演奏も聴いたことない)
実は店の前で並んでいる時に高野くんが目の前を通って中に入っていった
のでした。その時も思っていたより小さい人だな、というのが最初の印象
でした。
そしてステージに出てきた高野くんは、まるで威圧感が感じられないのでした。

(多分)高い服を着ているのだろうに、(すごく凝ったチノパンだし^^;)
どう見てもダイエーで買った\1980円のシャツにしか見えない所など
(誉めてない、誉めてない・・・--;)やはり高野くんの高野くんたる
由縁かなと思ったりして。

もちろん会場の性質上もうすぐそこにいる、という感じが(大会場の高み
を見上げるのでなく)そんな気を起こさせたのかも知れません。
しかしともすると(あくまでともすると、だよ)隣のお兄さんがギター上手い
っていうから聴きに行こうよ!と言われて来たような錯覚にさえ陥いりそうな。

例えば他の好きな人と比べてみます。
存在感だけで場を圧倒する下田逸郎、大江千里には実は大変度し難いアク
(見た目からは感じられないという人がいるかもしれませんが)がある。
女性の辛島美登里さんだってある才能としての威圧感とは無縁ではない。

本当はすごい人な筈なのに、これは演者としては積極的に受け入れては
いけない資質ではないか・・・。
しかし親しみやすいからと言ってそれが優れていないという訳ではない。
(多分にそう誤解されることもありましょうが。)
タイプが違う、ということと優劣はごっちゃにしてはいけないことでしょう。
例えが変かもしれませんが「家庭菜園やっていそう」というのと「北海道に
渡って農業始めそう」というのの違いというか、
私が惹きつけられてやまない高野くんの感性、特にまるで現代詩を読むような
味わいさえある「フルーツみたいな月の夜に」(アルバム「tide」に収録)は
高野ワールドの一つ結実(本当は歌を唄う人に詩人というのはあまり誉め言葉
じゃない気がするけど)とも思われ、その無二の感性は特筆すべきものと
考えます。
(もしかしたら高野くんも五十代越えたらもう威圧感バリバリの超個性派
じいさんになっちゃうかも知れないし(^^; )

アンコールは2曲と、カリンバ(指ピアノ)をお供に歌った一曲でした。
これも大変珍しいものを見たと思いました。

終了後TシャツとCDを買った人にはサインをしてもらえました。
(なんか声優の売り方みたいだなぁと思った事は否定できない^_^;)
SAMEはCDに、私はTシャツにサインしてもらいました。
やはりここでも高野さんは威圧感はなく、Tシャツのどこに書きましょうか、
と尋ねられる。
そんなのあなたのお好きでかまわないです〜(*--*)と言いたい所を
ぐっとこらえて真ん中にしてもらう。
SAMEは今日やった新曲はアルバムに入りますかと尋ねて「分からない・・・」
と言われショックを受けていました。(どうでもいいけど私よりたくさん
話してんじゃねぇ〜-_-#)
私はお礼の他には何にも言えませんでした。
やはり言いたいことは無い訳ではなかったのですが、「ずっと好きでした」
と言うのも変だし、だからって「愛してます」と言う訳にもいかないし、ま、
目で訴えてきたからいいけど、多分。
(Eye to eye だぜ、ふっ -_- )

このTシャツはライブ用にしよ〜そんで大江千里のコンサートに行くんだー(?)
(意味不明・爆)

マスのレコード会社を離れた高野くんですが、大会場のコンサートでは
こういうお楽しみは期待しにくいものですゆえ、どっちにせよ歓迎すべき
ことです。(何しろ演奏時だって10猫メートル先に高野寛がいるのです
ものね)
高野くんがこれからどこへ行くのか、少しだけ垣間見られた気のする一日
でした。

P.S.
終了後ラーメン屋でSAMEが「高野さんは俺と同じタイプだ」と
訳の分からん事を言っていたのを付記しておきます・・・。

* * *

前回少し書きましたとおり、到着前道に迷ってしまいました。
その時頭を流れていたのは「♪ここはどこだろう〜」というフレーズに
始まる高野さんの『国境の旅人』という曲でした。
これは演じられませんでしたが、この曲、私の迷子の時のテーマです。
方向音痴なのでしょっちゅう頭を駆け巡ってます。まーあかん。

* * *

さらに付記。
ごめん、ちっとも「ちょっと」になっていなかった(汗)。

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