調剤薬局の話

2000/05/15

歯医者さんで処方箋を貰って私が行く薬局は、本当に昔ながらの
町の薬屋さんである。
近くには大きな総合病院もあるので、ここいらに処方箋薬局は
結構多い。美々しいそちらの店に行く人の方が多いらしいが、
私は帰り道ということもあってそこに来る。
店内には薬屋らしい商品が一応並べてあるが、もうほとんど
処方箋薬局としての商売が主なようで、もしかしたら近所の人が
ちょこちょこ買っていくのかは知れないが、いつ行ってもそれらに
ほとんど動きはない。
四角い大缶に入ったバスクリンとか、小泉今日子がCMキャラだった
頃のスーパーマイルドシャンプーとかが、いつ来るともしれない
売られて行く日を待っている。
多分ほとんどは大丈夫だと思うが、コンドームだけは穴が開きそうだ
と思う(^^;

この店の前にはいつも隻眼のデブ猫がいた。まさしく漫画に出てくる
ボス猫そのものの風体で、彼をどかして店に入るのは一苦労であった。
しかし用事を済まして店内を出ようとすると、またドアの向こう側に
彼が陣取っているのだった。
何ヶ月かおいて次に行った時に、彼の姿はなかった。
代りに極めつけの美猫が打ちっぱなしの床の上に寝そべっていた。
彼女は姿も美しいが大変大きな猫で、その態度は堂々として優雅だった。
そしてそのグレーの艶やかな体を大事そうに首輪で店の奥へと繋がれていた。
しかし今どちらの猫の姿も見ない。
私はあの美猫は預かり物とかではなくて、死んだボス(ピンピンしてたら
ごめんねボス)の代りに奥さんたちが飼ったのだと思っているから、
もしかして家の奥で大切にされているのかも知れない。

さっき商品が動かないと言ったが、私はここでデッドストックの水森亜土の
ヘアブラシを見つけた。わざわざガラス戸棚から出してもらって買ったので
あるが、消費税はいらないということであった。

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