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タイトルトーマの心臓@
著者萩尾望都
出版社小学館
コミックス小学館文庫
初版発行日S55/11/20
版刷7
サイズ文庫
ジャンルコミック
コメント 今色んな理由があって昔の本を読み直している作業の最中です。初読の時は作中人物の大部分の年齢と同じ14歳でしたが現在の感想は、いえ読み返すごとにその感想は新たとなります。
現在読み返していて思うことはこれは一人の人間の中の多様なパーソナリティがそれぞれのキャラクターとなって現出する物語でもあるということです。人にはそれぞれ罪深さ(傷)に脅える「ユーリ」、現状に異議を唱え打破を促す「エーリク」、全員を見守る兄貴分的存在「オスカー」、その他…がいるのではないでしょうか?こう見るとアンテや他の些細なキャラクターにも色んな場で実に絶妙な行動を取る(無意識の動き)という点では自分自身を見出せるのではないでしょうか。
 そしてキャラクター中最も神性(天使性?)を帯びる存在「トーマ」、私たちは彼を心の中に発見できるのでしょうか。
トーマとエーリクの姿は美しく重なります。しかしエーリクはあらゆる意味でトーマより荒々しく(子供っぽく)破壊的です。自身の問題を抱えながらも、エネルギー、生命力にあふれているというんでしょうか。トーマは物語冒頭で死を遂げますがこれはトーマが自分に無いものをエーリクに借りて目的を達成する(その代わりトーマにあってエーリクに無いものがある、この為最終的にエーリクはユーリを得られない)物語と言えなくはないでしょうか。
「きみがこんなふうにしてこなければぼくはこのままでよかったんだ」ユーリはエーリクにこの言葉を発します。人は誰でも変化を恐れ現状に踏みとどまろうとします。しかし気づきを促しそれを揺り動かそうとする力は人生のどんな場面にも発生します。受け入れるかどうかはその人次第です。
まぁとにかく萩尾先生の作品では今でもこれが一番好きよ(^_^)。2002/11/1

改行しろって、怒られた〜♪(小銭ケイコちゃん風に)
持ち主えれ
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なし