ここのところ『アインシュタインの相対性理論は間違っていた:窪田登司著:徳 間書店』に対する問い合わせが3件ほど続いているので、この際ですからこの本を 肴にして何処がおかしいのかアップしてみたいと思います。  題して、『アインシュタインの相対性理論は間違っていたは間違っていた』です。 ちと長いです(^_^;)。  本の中身自体が細かく章分けされているので、それぞれ個別に論破していきたい と思います。もちろん私のミスもあると思われますから、その時は『アインシュタ インの相対性理論は間違っていたは間違っていたは間違っていた』という事で指摘 して下さい(^_^;)。    − アインシュタインの相対性理論は間違っていたは間違っていた その1 −   【誰もが思う「アインシュタインがまさか!!」】    著者は今までも色々な学説が覆された事(食品添加物の害の有無。耶馬台国の位 置等)を先に述べた後、次の一文を書いています。    >  そんな事と相対性理論とはワケが違う! 相対性理論は深遠、かつ崇高な  > 神が認める理論だ! 物理学の基礎になっているものだ! 頭のいい学者先  > 生が寸分の間違いもないように、数学的にくみ立てているものだ! 一介の  > ジャーナリストに何がわかるものか! と、あなたは私に食ってかかるかも  > しれません。                                もし、著者が述べているような『偉い学者サンが作ったから正しいのだ』という 主張で著者に食ってかかる人がいたとしたら即刻改めるべきでしょう。科学理論は 偉い学者が作ったか否かではなく、正しいか否か、実験に合うかどうかで決まりま す。  事実、相対性理論の検証は現在でも行われ続けています。少なくとも検証を続け ている人達は相対論の『信者』ではありません。   ***    次に、著者は相対論を、   >  25歳の一事務員であったアインシュタイン一人が、ある「ひらめき」か > ら作った理論なのです。   と述べています。もちろんその通りなのですが、著者の意図する主張は、一介の若 い事務員のひらめきだけで作られた理論であるから、当時の物理学の常識とは掛け 離れた、間違った考えをしてしまったのだと言いたいのだと感じます(もちろんこ れは私の感想ですから、実際にこの本を読んでみて下さい)。    しかし、1905年当時においてアインシュタインの発表した特殊相対性理論は、 多少誇張して述べれば『ちっとも独創的ではなく、ただ単に他より少し早く述べた だけ』という事になります。  発表が5年遅れていたら、他の誰かが必ずや構築していた筈の理論です。言って みれば特殊相対論はアインシュタインが発表したもので無くてもよかった。アイン シュタインがこの世に生を受けて無くてもいずれ登場していた理論です(一般相対 論の方はアインシュタインでなければ50年程遅れていたかもしれません)。    まず、時間や空間の縮みの元になるローレンツ変換は1905年のかなり前(1 887年)にW.フォークトにより定式化されました。その後フィツジェラルドも この事に気付き(1889年)、1892年にはローレンツがこれに気付いていま す。  そして彼ら3人は『それぞれ独立に』この考えに達しているのです(その他ラー モアやポアンカレも独立にこの変換を発見しています)。ですから、アインシュタ インの発想は突出したものではなく、当時の物理学としては平凡な結論だったと言 ってもいいくらいです。    特にポアンカレに至っては1898年に『われわれは2つの時間間隔の同時性に ついて何も直感を持っていない』・・・すなわち、2つの場所の”同時”を決定す る為には測定が不可欠であって、ニュートン力学においてのどこでも同じ時が流れ ているという『仮定』は不敵切であるという事を述べています。  その後もたびたびこの主張をし、エーテルの存在そのものに対しても疑問を投げ かけ、互いに相対運動をしている観測者の時計が『真』の値を示さず、それぞれが 『局所時間』という別々の時間をもつであろうと公演しています。そして我々は、 ニュートン力学に変わる『新しい力学』を作らねばならないとまで言及しています (もちろんこれは1905年以前にですよ!)。    もっとも『真の時間』と『局所時間』という分け方が多少古めかしいのですが、 アインシュタインがいなくても、いずれポアンカレか、その他の先人達によって特 殊相対論は登場してくるであろう事は間違いありません。  うがった見方をすれば、アインシュタインはオイシイトコだけをコソッとかすめ 取って行った人物と見てもいいくらいです。ある本には、   >  1905年秋・・・アインシュタインは1つの論文を発表した。その中で彼は、 > 既に知られていたポアンカレとローレンツの相対性理論をいくらか補充した形 > で示し、大いに注目をあびることとなった。   と、半分皮肉を込めて(?)書かれていたりもします。  もっと問題なのは、アインシュタインの論文には、ポアンカレはおろかマイケル ソンとモーレーの名前も無いのです。客観的事実としてアインシュタインは、ポア ンカレの論文とマイケルソン・モーレーの実験について知っていただろうと思われ ます(本人は思い出せないと述べています)。  もしこれらを知っていて、ポアンカレらの論文を参考論文として掲載せずに特殊 相対論を書いたとなるとこれはかなり失礼な事になります。    ポアンカレはその後、アインシュタインの名前を一切口にせず、彼がほとんど完 成させかけていた相対論の公演をする時にも、ローレンツの名前を上げて公演する という徹底ぶりでした。  逆にポアンカレの死後、ポアンカレ記念号の論文集に論文を寄稿して欲しいと、 アインシュタインは要請されたのですが、この要請を蹴っていたりします。  まあ、かなりギスギスした関係になっていた事は容易に想像できます(晩年アイ ンシュタインはポアンカレの功績に対してふさわしい栄誉が与えられるようにと述 べていますが)。    ・・・ちょっと話はそれましたが、少なくとも相対論は『25歳の一事務員が 勝手に「ひらめいて」出来上がった代物』では無い事がわかるでしょう。それは時 代の要請であったと言っても過言ではありません。                            axion   P.S.  この調子で本を論破していったら、すっごく時間がかかってしまう。     適当に手を抜かねば(^_^;)。    − アインシュタインの相対性理論は間違っていたは間違っていた その2 −   【横浜で発見した相対性理論の間違い】    著者は横浜の花火大会において、光の速度を        ・        見たと述べています。そして『光の速度は以外       ・         と遅いのだ』と結論づけています。           /           著者は花火が上がった煙一杯の空に向けて発     /           射されたレーザーを見ます。そして、そのレー   /\            ザー光がすぅーっと煙の中を走っていくのを観  ///            察します。                 ///レーザー          このような『光の走っている状態がわかる!』                のは何故かという事は後で述べるとして、根本的に光の速度が速いか遅いかという 事と、相対論が正しいか間違いであるかという事がどうして結び付くのかよく分か りません。    著者は、光の速度が1秒間に地球を7周り半もするのは『昔の感覚』で、今は衛 星回線による電話のやりとりのタイムラグ等で光の速さが以外に遅いという事を強 調します。  もちろん『以外に遅い』か『やっぱり速い』かは個人の感覚の問題ですから、特 に問題にはなりません。例えば昔はハワイというのは遠い存在で憧れのハワイ航路 だとか、夢のハワイとか言われたモンですが(古い〜^^;)、最近はほとんど国内旅 行のような感覚となりました。時代が過ぎて『ハワイは以外と近い』存在になった 訳ですが、実際の距離が変わった訳ではありませんね(プレートの動きを持ち出し て、年間に数センチずつ日本に近付いているというチャチャを入れる人が5人くら いはいるでしょうけど^_^;)。光速度の感覚はこれと同じです。    ですが、この光速度の『感覚』の変化と相対論の正否の関係が私にはよく分から ないのです。    とりあえず、煙の中を通過するレーザーが『飛んでいく様子が見えるように感ず る』メカニズムを紹介しておきます。もろちんレーザーの速度が本当に目に見えた 訳ではありません。著者は短絡的に『光の速度を見た』と考えたようですが。    完全に同時に光った2つランプを考えます。1方の明るさが明るく、一方が暗か ったとした場合、人間がその2つの光を感知するまでに数ミリ秒の差が出ます。む ろん明るい方を『先に見た』と感知します。  これは夜中の直線道路で点滅信号の列(互いにシンクロしている場合)を見れば 容易に観測できます。遠くにある信号機の方が遅く点灯したと認識できます。信号 機の列を逆から見てもやはり遠くの方が遅く点灯した様に感じます。       A     ○信号列 ○    ○    ○     B           /   |    |    |    |             電源―・ ・――・――――・――――・――――・                スイッチ                                                                    もし、点滅信号が次のような形で電源が付いているとし、実際に光の速度が認 識出来る程遅いとすれば、Aにいる観測者は遠くほど信号の付く時間が遅いと感じ るでしょう。しかし、逆のBから見れば全て同時と見える筈です。しかしこのよう な事は起こりません。もっとも実際の信号機がこのように単純な構造かどうかは分 かりませんので、この考察は不十分ではあります。    著者が『光の速度を見た』と感じたのは確かですが、それは実際の光の速度が目 で認識出来る程遅かったからではありません。  また、このような『発見』が、著者によって初めて見出されたものならば、その 解釈が間違いだった(視覚的な問題と光速度の問題を取り違えた)としても大いに 価値があります。ですが、このような『潜在視覚』と呼ばれる現象は古くから知ら れています。    例えば『ハテ・なぜだろうの物理学III:培風館』の5.122(及び5.117) をご覧下さい。同じ説明が載っています。実際に疑問に思われた方は実験して見る のもいいでしょう(どのような話がこの本に載っているのかは秘密にします。各自 読んで見て下さい。)。                            axion   P.S.  思うにここで取り上げた『光の速度を見た』というような現象の観測     において、短絡的に『光速度は目で識別できる程遅い!』と結論つける     事に問題があるのと同様に、『そんな事は有り得ないから間違っている』     と早急に結論付けるのもどうかと思います。      上記の話題のように、人間の視覚の研究対象がここには埋もれている     訳でして『有り得ない』と一掃してしまっては、この視覚問題の発見ま     で消えてしまうのです。      「気」を信じている人の研究から『気そのもの』ではなくてフラシーボ     効果が見出せたり、霊の研究から錯視等の解明が進めば儲け物なんです     から・・・。    − アインシュタインの相対性理論は間違っていたは間違っていた その3 −   【自由落下するエレベータの中】    この章では重力場中を自由落下するエレベータの中を進む光についての思考実験 が登場します。                                                                       エレベータ内部での観測        エレベータの外部からの観測                                           |           |       |           |    A(   〜〜〜→光   )B     A(〜〜         )     |           |       |  〜〜       |     |           |       |    〜〜     |       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 〜  ̄ ̄ ̄ ̄          Fig.1               自由落下  〜                             |  ↓     〜  |     Fig.1では『ワイヤーの切れたエレベー  (         → )B’  タ内部』に相当するので、重力は感じられ  |           |    ず、ライトから真横へ出た光はそのまま直  |           |    進して受光部へ進みます。           ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄      Fig.2ではこのエレベータを重力場中に       Fig.2         留まっている人が観察したものです。エレ                   ベータは落下し、光も『落ちる』ので、結果的にはFig.1と同様受光部へ当たりま す。  著者の主張は、このような『光の曲がり』は有り得ずライトからの光は受光部よ り上(このエレベータは天井が開いているのでエレベータの向こう側の壁)に当た ってしまうとしています。つまりFig.3の                   ように、エレベータ内部から見ると光が上       →           方へ反り上がっている風に見えるとしてい  |  〜〜       |    ます。                  (〜〜         )                         |           |     まあどっちがもっともらしいかという事  |           |    は各自違うでしょうし、これを言っても始    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     まりません。著者が強調しているように、       Fig.3         等価原理は仮定に過ぎないのですから。    この曲がりの直接的観測は、例の太陽近傍での光の曲がりの観測です。A.S.エ ディントンが1919年に日食を利用して、太陽周辺の星の映像の写真からこの曲 がりを発見しております。  余談ですが、アインシュタインは1911年(一般相対論はまだ生まれていない が、等価原理には既に気付いている時期)に日食時の観測法を思い立つのですが、 その時アインシュタインが提出した曲がりの角度計算は間違っています(実際の値 の半分)。特殊相対論と等価原理だけで計算するとこうなってしまうのですが、実 際に観測が行われた1919年までに一般相対論が完成し、計算ミスは観測前に直 されました。    余談の余談ですが、このエディントンの観測に始まる十数回に及ぶ日食観測は、 結構バラバラな値が出ていて、現在では『歴史的価値』はありますが、定量的にう まくいったとは言えない状況です。まあ誤差は実際の値(1.75秒)より30%くら いぐらついているだけですから、一応これだけでも検証にはなっています。  もっとも最近では、わざわざ日食の時を選ばなくても電波望遠鏡で太陽近傍を通 ってやってくる電波をキャッチしてその曲がりを測っています。  もっと直接的には、火星に降りているバイキングへ電波を送り(火星が太陽を挟 んで反対側へ行く段階の話)、その電波が太陽近傍を通って遅れる事も発見されて います。  太陽と水星の近日点移動の測定だけでなく遠い連星系の近日点移動の観測なんて のもあります。    この当たりの一般相対論の検証話は、著者も別章で取り上げていますから、その 時また反論しましょう。   ***    話を元に戻しまして、著者の反論点を取り上げます。著者はFig.2において次の ように論じます。   >  アインシュタインは1905年の特殊相対性理論の基礎となった論文の第1 > ページに、「光は常に、光を放出する物体の運動状態によらない一定の速度c > で伝播する」と仮定しています。そう言いながら、図1のようにAから発した > 光はB’に行くと考えているのです。矛盾していませんか? 明らかにこれは > 物体と同じベクトル量です。なぜならエレベータの速度がもっと早かったら、 > B’は下の方にあります。これでは光の速度は一定ではないし、光源の運動に > よっていかようにも変わる現象です。    この引用中で『図1』というのは、ここでの『Fig.2』の事です。    まず基本的に、重力場中の光の運動についての反論に『特殊相対論の仮定を持ち 出して論破する』という方法論に問題があります。「」でくくった部分は当然なが ら慣性系での話ですから、これを論破しても仕方ありません。    一般相対論で考えれば、光を光速と観測できるのは観測者の近傍だけであり、観 測者から距離を隔てた地点の光速度は変化します(今までにも何度か出てきた話で す)。ですから、       『光の速度はどの場所を観測者が見るかによって変化する』   というのが一般相対性理論の結論であるので、著者の反論は反論になっていません (もっとも、この部分は確かに色々な人が誤解を生む部分であるようです。上記の 表現も多少語弊があります。実際に”見る”のは手元にやってきた光だけであり、 この光は常に一定の光速度なのです)。  また、著者の言う『光源の運動によって光速度が変わる』という部分は明らかに 誤解を含んでいます。光をまるで物のように扱っているのが相対論だと思っている ようです(^_^;)。  著者は次のようにも述べています。   >  「そんなに光を物体のように扱いたいのなら、じゃ、光を減速して、半分く > らいのスピードにできますか? 無重力に中で光をフワフワ浮かす事ができま > すか?」と聞きたいのです。    上述したとおり、減速した光を間接的に観測するのは可能ですし、止まっている 光を”見る”こともできます。  富士山頂と海辺では時計の進み方が違いますね。で、富士山頂での光を富士山頂 の時計で測った場合の光速度も、海辺での光を海辺の時計で測った場合の光速度も 同じなのですから、『富士山頂から海辺を走る光を見れば、その光は遅くなってい る』のでした。  もっとも顕著なのがブラックホールの表面を走る光でして、遠くから見れば、そ の光は止まっているのです。ただし、ブラックホールに落ちた観測者が手元の光を 観測すれば常に一定の光速度を観測します(こんな特殊な場合でなくても、手元の 光は常に一定です)。  特殊相対論から一般相対論に行く過程で、このような『一般相対性原理』が導入 されているという事を著者は知ってか知らずか無視しているようです。    それから一番おもしろいのが、   >  横浜で閃いた私の考えは、「光は光源がどんな運動をしていようと関係な > なく、一旦出れば光速で空間を伝わっていく電磁波だから、見掛け上、光速 > 度は変化するものだ」ということです。   と著者は『発見』します。これが中学生の発見ならば確かに先見の明があります。 ただ、高校に入ると『波』の単元で、波の速度は波源の運動によらないという事は 必ず習いますし、ドップラー効果はこれを理解していないと説明できません。  事実、高校では、光のドップラー効果(非相対論的なもの)の問題も出てくるの です。  ですから、このような事は高校生の段階で当然知っているべき”知識”であり、 後になって閃くような代物ではありません。(少なくとも著者は大学の工学科に籍 を置いていたのですから)。  このような予備知識が100年以上前の人々にあったからこそエーテル理論が作 られマイケルソン・モーレーのような実験が行われたのです。                              axion   P.S.  アラスカ猫さん、岩藤さん、アドバイスありがとうございます。まず、     著者の直接相対論を否定している部分のみに対して反論してはどうかとい     う事ですが、そういう部分は実はほとんどありません(^_^;)。『著者がイ     メージしている相対論』へ、著者が反論していのがほとんどです。      ですから、多分この本に対する『プロの物理学者』の反論は無いのでは     と感じます。矛先は『相対論』ではないのですから(ドンキホーテが水車     を攻めているようなモンです)。      まあ、本の後半になると一言でケリがつく章もありますから(単なる勘     違いなど)、そのうちペースもあがるでしょう。            それから、特殊と一般の区別ですが、一応ちゃんと分別するように努力     しますので、わかり辛いところが御座いましたら適宜注意してください。    − アインシュタインの相対性理論は間違っていたは間違っていた その4 −   【マイケルソン・モーレーの実験】    冒頭の部分ですが、少し引用しますと・・・                                       >  相対性理論を語る時にいつも出てくる有名な実験の一つに、マイケルソン・ > モーレーの実験というのがあります。もう100年以上も前の話ですが、今で > も科学者は、あの実験は非常に重要で、相対性理論の裏付けになるものだと固 > く信じています。   と書いてあります。まあ内容的にはこれでいいのですが、『相対論は間違っていた』 という主張の”通俗本”では何故かこの古ぅ〜〜い実験に対する反論が多いのです ね。  つまり、この実験の後に、全然実験が行われていないかのような表現がなされま す。多くの相対論否定本の通俗書では、この実験当時の精度はあてにならないとい うような主張もみられます。  が、いわゆるマイケルソン・モーレー型の実験は、幾度も行われていまして、現 在でも行われています。       実験者名   実験年                                                                 Michelson    1881    初めての実験(Lorentzが実験ミス指摘)   Michelson & Morley  1887    いわゆるM&M実験と呼ばれている実験    Morley & Miller  1902-1904   実験室でやらず、あえて丘の上で実験        Miller     1921    ウィルソン天文台にて(エーテル発見?)        Miller    1923-1924                          Tomaschek    1924                            Miller    1925-1926                           Kennedy     1926                            Illlingworth   1927                          Piccard & Stahel   1927                            Michelson    1929    Michelson最後の実験(1931年死去)        Joos      1930                          Kennedy & Thorndike 1932    装置の腕の長さが違う実験            Jaseja他     1964    レーザーによる実験                                                  適当に調べたのでいい加減ですが(以前にもアップましたが)、この他にも無数の 実験がある筈です。また、別の方法のエーテル検出実験も存在しています。    要するに『マイケルソン・モーレーの実験』と言う場合、1887年の実験そのもの を示すという使い方よりは、『マイケルソン・モーレーの実験を初代とする一連の 実験』に対して使われる場合が多いと考えるべきでしょう。  こういう事は、例えば『エディントンによる日食を利用した光の曲がりの測定』 などに対しても同様です。この観測がたった一度だけ行われた訳ではありません。    よって『古い実験をかたくなに信じている』というような印象を与えるのは間違 いで、『ずぅ〜っと疑い続けているが、未だに否定的結論は出ていない』と考えた 方がいいでしょう。  そもそも『信じている』という表現は使えませんね。例えば「あなたは浮気をし てないと信じている」と言った後、電話のチェック、手帳のチェック、素行調査等 あらゆる事を現在までずぅーっと続けて「信じている」とは言わないでしょう(^^;)。 「疑っているが、今までの結果からはボロは出ていない」とすべきですね。    また、余談ですが(余談が多い!)、科学者は300年以上前のガリレオの『ピ サの斜塔実験』さえも疑っていて現在も実験しています。それから、ニュートンが 仮定した『リンゴが落ちる力も月が回転する力も重力による』という事さえ疑って いて、アポロ宇宙船が月に置いてきた鏡を使ってこれを検証していたりします。  このような実験を行う態度が『信じている』態度でしょうか? どちらかという と教科書に載っている事を信じてしまうのは、科学に携わっていない人ではないか と思ってしまいます。  『アインシュタインの相対性理論は間違っていた』という本が、科学の『疑う態 度』を示してくれるとすれば、内容の正否に関わらず、有用な事だと思われます。   ***    さて、ここからマイケルソン・モーレーの実験に対する著者の考えへの反論です が(長い前振りやな)・・・どこから                     手を付けようか悩む所です(^_^;)。と                     もかく著者の反論のベースを述べます。  __C →  __C’→ __C''                            /\           図のような光源Aと鏡Cがありまし        /  \         て、これは連結されて同時に動いてい       /    \        ます。つまり、最初はACの関係だっ      /      \       たのが時間がたつとA’C’に移動し、    /        \      その後A''C''と動く訳です。       /          \                         ○            ○     Aから出た光が鏡で反射して戻って   A  →   ○A’ →  A'' → くる為には、図のように斜めに光が出                     てなければなりません。C方向に飛ん                     だ光の場合、光がCの場所に到着した時には鏡が移動しており、反射して戻ってき ません。光はボールとは違って光源の運動に左右されませんから。    とりあえず著者の認識上の間違いは、マイケルソンやモーレー及びアインシュタ インは『光をボールみたいに扱っている』と思い込んでいる部分です。この実験当 時、『光をボールみたいに扱っている』人は誰一人としていません。    光が、粒子かはたまた波かという議論はニュートン時代から議論の的でしたが、 1807年の有名なヤングの実験(スリットを通して光を干渉させる実験)により 波動説に軍配が上がりました。  よって、著者の主張のように   >  光は一旦光源から出たら、もう光源には関係なく光速度で伝わる・・・   というのは、誰もが知っている共通認識です。マイケルソン、モーレー、アインシ ュタインその他諸々の科学者の中で、これを否定している人は現在に至るまで誰一 人としていません。  著者は一体誰を想定して反論しているのか理解に苦しみます。    また、AからC’に飛んだ光は『Cへ行った光とは全然別物』であるとしていま す。当たり前です。Cへ行った光は戻ってこないのですから。  マイケルソン・モーレーの実験で干渉している光は、AからCへ行った光ではな く、AC’A''と戻ってきた光です。Cへ行った光ではありません(こんな当たり 前の事を何故著者は強調しているのでしょうか?)。    著者のもう一つの間違いは、反射して戻ってきた光を『球面波の後続波』として いる事です。                                 マイケルソンとモーレーの実験は、ハーフ        ―C        ミラーから『2方向に分離した』光の干渉で        ↓         行われます。                                 もし著者が言う通り、2つに別れて戻って        ↑         きた光が『同時に別れた光ではない』とすれ                  ば、干渉縞の動きどころか干渉縞そのものが   ○ →  /  → ←|B  出てきません。               光源   ハーフミラー         位相が揃った光が分離して、位相がずれて        ↓         戻ってくるが故に、光は干渉しあうのです。        □         最初から位相が揃っていない『全然別の光』       干渉計        を干渉させても位相が揃う筈がありません。                  2つの懐中電灯の光を重ねて干渉縞が出ないのと同じです。著者はこういう基本的 な部分を理解していません。    それから反論する方が恥ずかしくなるような(*^_^*;)主張もあります。光は一定 速度で伝わるとするアインシュタインの主張に対し、   >  本当は光は決して一定の速度ではありません。空気中と真空中では伝わり > 方が違いますから、地球から出た光の速度はどんどん変化しながら宇宙空間 > に飛んで行っていますし・・・   ・・・ちょっと不安なんですが、この事は一般常識ではないのでしょうか? 水に よる光の屈折は、光の速度の変化でおこるとか言う事は、下手すると小学生でも知 っている事だと思います。  でもこういう主張をアインシュタインの『光速度一定』の反論として掲げている 本が売れているという事は、以外と知られていない事実なのかもしれません。    もちろん、アインシュタインの光速度一定というのは、空気中云々の変化等とい うものを示したのではなく、全て真空中の話です。水中ならば水中の光速度を越え る物体もあります。要は、『有限速度としての真空中の光速度C』を述べているだ けです。  水中でも空気中でも、その場所での光速度を越える物体というものは存在します が、真空中の光速度を越えるものはないという事です。                             axion  『間違いの間違い(その4)』の訂正です。    干渉縞が生じる原因として『同時に別れた光でなければならない』としましたが、 よく考えると(あまり考えてませんが^^;)多少ズレててもいいです。  そうでなければニュートンリングのような干渉縞は生じないのでした。    どの程度の時間、干渉が出る程の位相が保たれているかはよく分かりません。 ニュートンリングの場合は十数個の輪は見えますが、これは位相の問題ではないよう にも思えますし。    という事で、1波長分程ズレた程度で『干渉縞が消える事はない』という事で訂正 します。どうもすみませんでしたm(__)m。    ただし、著者の主張がおかしい事は変わりがありませんで、1個だけズレたとして もその1個が『常にずれている』ものであれば、装置の動きによって干渉縞は動く筈 でした(エーテルがあれば)。  装置の腕の長さが2つとも実験中に変わらないならば、腕の長さの僅かな差による 『別の光同士』の干渉でも縞の動きはマイケルソン・モーレーの計算にほぼ遵守しま すので。  『ほぼ』がつくのは、意図的に長さを変えた腕の場合は、その長さによって実際の ローレンツ収縮する長さが腕によって違ってくるため、これが検出されるかも知れな いという別の実験となるからです。  この実験も行われていまして、ローレンツ収縮だけではこの実験の結果(結局干渉 縞は動かなかった)説明できない(相対論が必要)という確証になっています。                             axion    − アインシュタインの相対性理論は間違っていたは間違っていた その5 −   【相対性理論が間違った方向に行くきっかけとなった式】    先程のA→C’に光が行くという部分で、著者は次のように言明しています。                                       >  もし、どうしてもC’の時点で鏡に反射させたかったら、予めそっちの方向 > に光を発射しておかないといけません。         ^^^^^^^^^^^^^^^^   ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^                   この部分が誰もが引っ掛かる部分ですし、実際に実験を通して確認するまでは、に わかには承服できない部分でしょう。進路方向横向きに発射した筈の光が、第3者 の観測者から見ると前方に傾いて光が出されている事になる。そんな事が有り得る のかという事ですね。  例えば宇宙船に積んだレーザー装置が、静止時において『確実に進路方向横向き にレーザーが出るように調整』されていながら、宇宙船が動き出すと何故か前方に 発射されるようになってしまうのです。  ただし、宇宙船内の観測者は(宇宙船が等速度運動をしている限り)これに気付 きませんが。                              レーザー      レーザーの場合は、発振機構を考えると割と簡単に      ↑鏡(反射99%) この事は考察できます。レーザーは封入された筒の中     / ̄ ̄\      の元素による共鳴現象によって生じます。         |・ ・|      つまり、なんらかのガスをガラス管等に封入してお    |  ・|     き、そのガスを常に励起状態にしておきます。その中    |・  |     の1つのガス分子が基底状態に戻る時、元素に特定の    |   |     光を発射しますが、この光が別の元素の横を通ると、    | ・・|     『誘導放射』という現象により、横を通られたガス分    |   |     子からも同じ光が出ます。この光は位相がピッタリ合    |・  |     っています。                      |  ・|      後はその過程がドンドンと繋がっていって、位相が     \__/      揃った大量の光が取り出せるという寸法です。(専門       鏡(反射100%) 的な話になりますが、共鳴する周波数がガス分子によ              るか、それともガスを封じ込めた筒の長さによるかという問題もありますが、ここ では割愛します)。    一度に大量の光子を出すのは中々難しいですし、大量のガス分子を光が通る間に 一瞬に励起させるのも困難です。よって大抵の場合は図のように鏡で反射させて、 何度も管の中を往復させ、1%だけを外に取り出すという方法を使います。    また、SDI計画に使われそうになった超短光パルスレーザーの場合は、このよ うな往復はさせず、一気に絞りだしてしまいます(エネルギー源は核ですから、こ のような無茶も可能)。著者はレーザーパルスの話を引合に出していますから、こ ちらの方がいいのかも知れません。  もっとも超短光パルスレーザーはこんな物騒なものだけでなく、色々と使われて ます(そのものずばり『超短光パルスレーザー』という専門書もあります。値段が 6000円くらいしたので”趣味”では買えませんでした(^_^;)。FSCIの小冊子、 GO FSCI!2が出れば、何故こんなモンを買おうとしたか分かります)。    話がかなり逸れましたが、レーザーが『発振』される為には、光が発射された先 に別のガス分子がなければなりません。著者が述べたようにAからCへ光が発射さ れた場合は、そのうち発振器の壁の部分に光がいってしまいますから、発振しなく なってしまいます。  よってレーザーが『発振する方向』というのはC’へ行った光のみという事にな ります。実際にはこのずれは極僅かですから、全く発振しないという事はなく、本 当にナナメに発射される事となるでしょう。  このレーザー光の実験の話は【私の提案する実験装置】という章で筆者が提案し てますので、その時具体的な実験事実も踏まえてもう一度説明します。    次にもっと直接的な実験結果がはっきり出ているものを例として上げます。宇宙 船にレーザー装置を乗せて飛ばす実験というのはかなり先の話になりますが(宇宙 船地球号での実験結果は実は既に出てますが、今はひ・み・つ)『素粒子加速器で 電子を加速して、電子が出す光を観測する』という事は現代でも出来そうですね。    出来そう・・・ではなくて既に行われているのですが(Codling:1973)、電子を 加速器でグルグルと加速するとシンクロトロン光という光を放射しますが、電子の 速度が速くなると、この光が前方に集中するのが観測されています。もちろん相対 論による理論値とピタリ合っております。  電子に『予めそっちの方向へ光を出すように細工した』とは考えられませんので、 著者の考えは既に否定されている訳です。  それにしてもこのシンクロトロン光を利用したファクトリは既に実用化されてい るのですから(何の事はない、筑波にあるトリスタンの余生ですが^_^;)このよう な事は、『そのスジ』の人なら常識的な事実の筈ですし、ちょっとした書店によれ ばこの事実はすぐ調べられます。著者はこの事を全く知らなかったのでしょうか?    なおこの章でも『光速度は海中や空気中では遅くなる云々』という的外れな主張 が載っております(^_^;)。太陽周辺の微粒子の集まった部分の光速度も違うと念を 押してます。そんな事は相対論では何も否定していないのですがね。                             axion    − アインシュタインの相対性理論は間違っていたは間違っていた その6 −   【マイケルソン・モーレーのミス】    実は著者の直接的な相対論批判(批判というには心許無いですが^_^;)はこの章 までです。後は自説を説いて、その自説が『如何に相対論と違っているか』という 事を述べているに過ぎません。    つまり、例えば野球のルールを『ホームランを打ったら走者の倍の得点とする』 と独自に規定し、「この“自説”によれば、この試合は巨人が勝っているし、あの 試合はヤクルトが勝っている・・・」と述べているようなものです。  野球のルールの場合は人間が勝手に決めたルールなので改変は可能ですが、科学 の法則の是非を決めるのは自然であり、観測や実験によって調べられます。よって、 この章をやっつけてしまうと後はグンとペースが上がります。実際の観測&実験結 果を述べて違う事を示すだけでいいのですから。    では、とっとと片付けてしまいましょう(^_^;)。   ***                          ―鏡C           著者はこの章でローレンツ収縮の話を       ↓            しています。相対論の通俗書でも必ず出                    てくる式(式がある本ならばですが)だ                    と思われるので、何度も重複して出てい                    ると思いますが、再度書きましょう。                                              ↑             装置は図のようなものです。本当のマ   ○→  /→    ←|鏡B   イケルソン・モーレーの実験では光を何  光源  ハーフミラーA          度も往復させていたり、ハーフミラーを                    通る光の位相のズレを補正するためのガ       ↓            ラス板があったりしてもう少し複雑です       □            から、これは概念図です。            検出器            装置の、光源、ハーフミラー、鏡B、                    鏡C、検出器は、1つの台に固定されて       ――→v         います。実物は砂岩の一枚岩で、水銀の                    プールの上に浮いておりました。    この装置は光の媒質とされた『エーテル』の中を速度vで右に進んでいるとしま す。装置自身が、左向きにvで流れるエーテルの中に静止しているという風に考え てもいいでしょう。  湖面に投げた石の波紋は同心円状に広がりますね。ここで、川のように流水の上 で石を投げると、同心円状に広がる事は同様ですが、波紋の中心が流されていきま す。エーテルの波として考えられた光もこれと同じで、一旦光源から出た光は左に 流されながら広がっていきます。    A→B→Aと行く光は、行きはc−vの速度の光となり、帰りはc+vとなりま す。よって往復時間は、               L     L       2L                  t1 = ――― + ――― = ―――――――     式1            c−v   c+v   c(1-v^2/c^2)           です(AB間=AC間=Lとしました)。A→C→Aと行く場合は、舟が川を横断 するコースですので、ピタゴラスの定理を使います。                 2L          2L                t2 = ――――――――― = ――――――――――   式2           (c^2−v^2)^(1/2)   c(1-v^2/c^2)^(1/2)         です。ここで2つの式は違っていますので、ABA経由とACA経由でタイムラグ が生じ(t1>t2)、装置を回転させると干渉縞が動くだろうとマイケルソンとモ ーレーは目論んだのですが、これが大外れだったのでした。  なお、当たり前の事ですが『当時の技術が未熟で発見出来なかった』という事で はありません。地球の公転速度毎秒30km程度のエーテル流を検出するには十分 な実験でした。  現在の技術ならこの時の1万倍くらいの精度が出せますが、それは余分な精度で す。例えば女性アイドルのBWHを測る時にμm単位まで測ったりしないのと同じ です(なんつー例だ(^_^;))。    著者はこの説明の後、次のような文を続けています。   >  そこでアインシュタインは、「光速度はいかなる実験装置の運動によっても > 一定の値cである」と仮定し、これを「光速度不変の原理」と名付けて相対性 > 理論を作りました。その結果、「運動物体はその方向に短縮する」という相対 > 性理論につきものの「奇怪な数式」が現われ、つぎのようにマイケルソン・モ > ーレーの実験を説明したのです。すなわちLは運動方向に縮み、       >              ____                    >             /  v^2                    >           L /1− ――                    >            /   c^2                    >                                     > となるので・・・・              (以後略)           この部分の説明だけを抜き出しますと、確かにその通りです(奇怪がどうかは 別として)。ただし、マイケルソン・モーレーの実験から続けて考えると著者の思 い違いがかなりあります。    まず、本論とあまり関係ない思い違いとしては、アインシュタインはこの実験を 説明するためにローレンツ収縮を発見したのではないという事。まあこれは単なる 『科学史の誤認』ですからいいでしょう。  問題なのは、このローレンツ収縮は『光速度一定という仮定から導き出されたも のでは無い』という事です。    ローレンツ収縮というのは文字通りローレンツがマイケルソン・モーレーの実験 を説明する為に生み出した代物です(ローレンツだけではありませんが)。ローレ ンツはこの収縮理論とそれを応用した電磁気学の説明において1902年にノーベ ル賞を貰っています。  で、ローレンツ自身は『光速度一定という仮定は全く無しに』この収縮理論を発 表しています。というより、見掛けの光速度が変わるからこそ、棒の長さを調節し てつじつまを合わせる必要があるのです。    面白い話(よく知られた話かも知れない)を一つ。ここに登場した式変形と全く 同じ式変形となった特殊相対論が後から登場するのですが、ローレンツはこの相対 論の考えを否定しています(1909年初版、日本語訳『ローレンツ電子論』東海大学 出版会)。  ローレンツやフィッツジェラルド等は『ニュートン力学の範疇で』この短縮理論 を作ったのです。当然ながら時間の遅れなんてものは考えてません。    理論展開の順番としては、まずマイケルソン・モーレーの実験があって、最初に 登場したのが『ニュートン力学の範疇における収縮理論』だった。相対論はその後 の話です。    著者は、ここで二重の過ちを侵しています。ローレンツ達の収縮理論と特殊相対 性理論とを混同し、著者自身が擁護しようとしているニュートン力学的な考えもろ とも否定している。  まず著者は、ローレンツとアインシュタインの立場の違いを把握すべきでしたね。 (その1)の時に、ローレンツの相対論をアインシュタインがちょっと直しただけ という意味合いの事を書きましたが、表面的な数式はほとんど同じでも、その概念 は確かに革命的に違っています(System6.07とSystem7.1くらいの違いが・・・とい うとMAC関係者は分かるかな^_^;)。    なお、著者は、相対論が『光速度一定』という主張をするならば、t1は、              2L   2L(1-v^2/c^2)                      t1 = ―― → ――――――――                          c       c                    とすべきだと主張しています。その通りです。特殊相対性理論では、装置の座標の 時計は(1-v^2/c^2)倍遅れて観測されるのですから、これは矛盾でもなんでもありま せん。まさに著者の言う通りの変換がされています(このあたりが、冒頭で述べた、 『野球のルールを独自に変えて、試合の得点ミスを指摘する』というような部分で す)。    ちなみに、著者が提唱している『光速度は見掛け上c−vcosθになっている』 云々と言っているのはドップラー効果を説明する時によく使う近似です(もっとも 使い方が多少違いますが^_^;)。高校の教科書のドップラー効果の部分を見て下さ い。  ただし、cosθが出ているので、高校生  →| x |←            としてはちょっとややこしい部類の式に   ピー ポー 飛行機         なります。例えば『地上100m上空を   >  >             真っ直ぐ飛んでいる飛行機の音を地上か  / \ .・\            ら観測した場合の音のドップラー効果・  xcosθ\  \           ・・』というような問題には必須です。    /  \  \           飛行機は移動しながら動いているので、       \  \r2        その音はドップラー効果を受けるのです        r1\ \        が、飛行機がピーポーピーポーと音を出          \ \       しながら(それは救急車だ^^;)飛んでい  r1 = r2 + xcosθ  \ \      るとすれば、ピーを出した後、ポーを出   (近似式)      \ \     すまでに飛行機が近付き(この間に飛行              \\    機の動く距離をxとする)、そのために             θ \・   縮まるピーとポーの間隔が『xcosθ』と    ____________|観測者 近似できるというモノです。飛行機が真                    上に来た時にはθ=90度ですから、縮まりません。そこが最短距離ですから。  著者の計算は二度手間になっており、まずA→C’に行くとした後、改めて A→C’へ行く時間分だけ鏡がまた先へ行ったとして計算している事になります。  しかし、この式が本に書いてあるように、本当に   > 世紀の大発見だとか、窪田の関係式として話題になっているわけです。   のでしょうか(そうするとドップラー効果そのものが“一般には”あまり知られて いないものなのかな)? ちなみにドップラー効果が提唱されたのは1842年です。                             axion   P.S.  次からペースが速いです。ほとんど一言でケリが着くものもあります     から。    − アインシュタインの相対性理論は間違っていたは間違っていた その7 −   【私の提案する実験装置】    ここ著者が提案した実験とほぼ同等の実験はJ.P.CedarholmとC.H.Townesによって 1959年に行われました。2つのメーザーを互いに反対向きに飛ばして、向きの 違いによるドップラーシフトを測定する実験です。もちろん測定結果にはなにもで てません。  著者は『是非この実験を一日も早く行うよう・・・』と述べてますが、30年以 上遅れてます。ただし、この実験は著者には理解出来ないものと思われます。   【アインシュタインの座標変換と私の座標変換】    次の一文を引用するだけで著者の間違いは分かります。vで進むロケットが発す る光がやはりcだという著者の主張に対し、   >  ここまでくると多分アインシュタインは私に、「おいおい、君。ガリレオの > 相対性原理によれば、速度vのロケットから光を発したのだから、光の速度は > c+vじゃないのかね」と反論するでしょう    どのようなスピードのロケットから発射される光も、必ずcであり、それは相対 論でもニュートン力学の範疇における波でも同じです。光の速度がc+vになるな どとは誰も言ってません。  この章は『相対論では光速度がロケットによって変化する』という間違った解釈 を論破しているだけですので、相対論への反論にはなっていません。『著者の思い 込みの中の相対論の主張』を論破しているだけです。   【光は直進する】    著者は光はエネルギーを持っているので質量があり、それによって重力の力を得 るとしています。この発想に基づいた計算はJ.ゾルドナーという人が1801年 (1901年ではないよ!)にやってます。    また1911年にアインシュタインが計算したのもまさにこれです。著者と同等 の計算(著者は計算してませんが)をしています。が、その後一般相対論が完成し、 この光の曲がり方の計算は不十分(半分)だった事がわかりました。    日食を利用した光の曲がりの観測では、光が曲がるか曲がらないかを決定したの ではなく、ニュートン力学による曲がり(光の質量を考えた曲がり)と一般相対論 による曲がりとで理論値が違うので、そのどちらが正しいかを決定したのです。    よって著者の“持論”は1919年の時点で、観測によって否定されています。 もちろん同時に、アインシュタインの1911年の考えも否定されていて、1915 年の一般相対論の方が生き残ったのです。   【引力も光速で伝わる?】  著者は日食の時に、地上の日食が見える側と反対側の重力の測定を“発案”して います。これは単なる潮の干満現象の説明に過ぎません。    なお、重力も光速度で伝わるという確証はまだなく、この観測と相対論とは無関 係です。今後の実験が待たれるという事に関しては著者の主張はもっともです。   【等価原理の間違い】    著者は一般相対論による帰結を知らないようです。ロケットの天井と足元にレー ザーを置いて『同時に』発射させ、中央でぶつかれば、ロケットは重力場中に静止 しているのだそうですが、一般相対論では重力場下方の方が時間の進みが遅いので、 上からのレーザーの方が先に来ます。  よって『重力場ならば中央でぶつかる』この考えは相対論ではなく、著者独自の 理論であり、著者独自の理論を著者自身が否定しているだけに過ぎません。  前にも述べましたように、重力場の上下方向での時計の進み方のズレは、既に観 測されています。   【静止とはどういうこと?】    著者は『静止系と慣性系』を区別する   □→     |     ←□  という名目で、次のような実験を提案し  レーザー   中央点   レーザー ています。2つのレーザーを『同時に』                    発射し、中央で衝突したらこの装置は止まっているそうです。反論は簡単です。 『同時に発射させる方法』を聞けばいいだけです。中央から時計あわせの信号を送 ったりすると『必ず中央で衝突する光を出すレーザー対』になってしまいますけど。   【球面波だったら?】    マイケルソン・モーレーの実験で、反射するのが球面波だったら、2つの別の波 を分けて合成している事になるという主張の繰り返しです。   【光速度不変の原理】    地球から月へ光を発射する時と、ロケットをほぼ光速度で送り出す時とを比べて、 地上からみると、その速さの差はほとんどないのに、ロケット内部で見るとやはり 光速度は一定であるという部分に著者は不満のようです。    特殊相対論で考えれば、ロケット内の時計の進みはほとんど0に近いので、地上 から見て、ロケットを光がゆ〜〜〜っくり時間をかけて追い越したとしても、ロケ ット内部でみれば一瞬の事です。    著者の反論が、これまた傑作なのですが(^_^;)・・・   >  アインシュタインの相対性理論では、「地球と月の距離は観測者によって > 短くも長くもなるし、時間も地球上と宇宙飛行士では異なるので、そうなる > のさ、観測者が違えば言うことも違うのさ。それが相対性理論の面白いとこ > ろさ」と、結論されています。 >  物理学にそういう考えを導入してよいのでしょうか?    『そういう考えを導入してよいのか』と言われてもねぇ(^_^;)。問題は実験結果 を理論が説明できるかどうかであって、好き嫌いの問題ではないのですが。    また、平行に走るレーザービームは見ることはできないという当たり前の事を著 者は述べています。レーザー光をTVなどで写す時には、わざわざスモークを焚い てますから、これは常識(アニメや007ムーンレイカーあたりを見ていると案外 非常識かも?)だと思います。  アインシュタインは見えると思っていたと著者は述べていますが、どこでそのよ うに思ったのでしょうか? 思考実験の説明かな?                             axion    − アインシュタインの相対性理論は間違っていたは間違っていた その8 −   【月まで光は何秒かかる?】    この章は珍しく計算問題が出ています。今までは単に著者の勘違いや実験事実の 誤認ばかりでしたので、単なる『科学史の再確認』で終わってしまう所があり、少 々不満でした。まあ、この章の計算も取り立ててとっぴなものではないのでそれほ ど面白くはないですが、計算問題の場合は是非がはっきりするのでまだマシでしょ う。    問題を要約すると次のようなものです。    問: 地球と月の間の半分の長さのロ    |←――― L ―――→|      ケットがあり、光速度の半分で飛                       んでいます。            / ̄\                  図のようにロケットの最下部A   |地球|          ○      地点で地球上から光が発射されま   \_/          月      した。                ・〜→光                地球から見た場合、光は何秒後    _______            に月に届くでしょうか。また、ロ   |A     B>→c/2       ケットから見ればどうなるでしょ     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            うか?               |← L/2 →|                                                著者はこれに対して、よく有りがちなミスを代表して述べています。外しどころ を見事に外してくれています(ギャグの世界では『お約束』という部分ですね)。    まず、図が違います。『ロケットの長さが地球と月の半分で』という説明で、そ のままそういう図を書いています。これがこのまま飛んでいたとすれば、ローレン ツ収縮も何もしていない事になるので、それは(特殊)相対論の議論ではありませ ん。  またしても著者は『自論を述べてそれを自ら否定する』という行動に出ています。 相対論が間違っている事を示すのですから、ちゃんと相対論を否定してもらいたい ものです。    ロケットの長さは『静止時に地球と月の間の半分』ですので、このことを踏まえ た上で、地球静止系からの観測と、ロケット静止系からの観測を別々に書きます。 そしてそれら2つに矛盾がない事を示します。                                              地球静止系      |     ロケット静止系                         |                      |←――― L ―――→|  |    |←  γL  →|                        |                     / ̄\             |   / ̄\               |地球|          ○  |  ←|地球|     ←○        \_/          月  |   \_/      月         ・〜→光           |    ・〜→光              _____           _   _______          |A   B>→        /3  |A     B>           ̄ ̄ ̄ ̄ ̄       γ = ――    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄           |← →|           2   |← L/2 →|            γL/2                                                 |                    ロケットはローレンツ収縮によりγ倍| 地球−月間はローレンツ収縮によりγ に縮んでいます。          |倍に縮んでいます。           地上から光が出た時、Aはすぐ横にい| 地上から光が出た時、Aはすぐ横にい ますから、Aにあるレーザー光検出装置|ますから、Aにあるレーザー光検出装置 も瞬時にそれを察知します。この光がB|も瞬時にそれを察知します。この光がB に届くまでの時間を考えます。    |に届くまでの時間を考えます。                       |                    地上の時計で測れば、ロケットは光速| ロケットの時計で測れば、ロケットは cの半分で走っているので、Bに光が届|静止しているので、ロケット長を単に光 く時間をtとすると、        |速で割ればよく、                             |                         γL/2    L    |          L           t = ――――― = γ―    |     t =  ――             c−c/2   c    |         2c                          |                   になります。            |になるでしょう。                             |                    次に、Bから月に行くまでの時間を考| 次に、Bから月に光が行くまでの時間 えます。ロケットは既にγL/2だけ進|を考えます。初めBと月との距離は、  んでいます。また元々BはAよりもγL|                   /2だけ前にありましたから、この時点|     γL − L/2       でBと月までの距離は        |                                     |でした。が、ロケットの時計で既に       γL  γL        |L/2cだけ時間がたっているので、B  L − ―― − ―― = (1−γ)L |と月までの距離は、               2    2         |                                     |    L   L c      3L ですから、地上の時計では、     |γL − ― − ――・― = γL− ――                   |    2  2c 2       4      (1−γ)L       |                        ――――――       |ですが、今はγ^2=3/4なので、           c          |                                     |     γ(1−γ)L       で光は月に到着します。       |                                     |と簡単になります。さて、ここから月へ  まとめますと、光がB経由で月に行く|光が達する時間をtとすると、月が光速 時間というのは、          |の半分で近付いているのも考慮して、                    |                     γL  (1−γ)L  L   |γ(1−γ)L = ct + ct/2    ―― + ―――――― = ―   |                      c      c     c   |       (1−γ)L                        |    t = ――――――      になります。            |         2γc                          |                                     |時間後となります。                           |                                       | まとめますと、光がB経由で月に行く                   |時間というのは、                             |                                      |   L   (1−γ)L   L                    |  ―― + ―――――― = ―――                    |  2c    2γc    2γc                    |                                    |すなわち、                                  |                                       |        γL                          |      ――――――                         |      c + c/2                          |                                   |となります。                               |                                                          まず、地球静止系ですが、Bを経由した地球−月間の時間は、L/cでした。L の距離をcで進む光が走るとどれだけ時間がかかるかという事ですのでこれは当た り前です。  途中でローレンツ収縮をしたロケットのB点を経由した計算を加えても変わる筈 がありません。著者は単なる計算違いだったのか、はたまたそういう思い込みかど うか分かりません。    ですが、著者の主張のように、相対論によって計算すると、   >  結局、このレーザー光は0.64+0.32=0.96秒で月に達すること > になります。   という結論は間違っているのはこれではっきりしました。相対論がそんな初歩的な 間違いをしていたら、3日と学会では生き延びれません(FSCIの会議室でさえ 1週間生き延びるのは難しいでしょう^_^;)。    また、ロケット静止系の方も結論だけみればそれほど難しくありません。地球と 月の間はγLであり、それぞれ光速度の半分で左へ動いています。  光(速度c)が地球から右に出て、月が左側へ光をお迎えにいってますから(速 度c/2)見掛け上、光速度がc+c/2になったのと同じです。  よって光が月に到着する時間は、γLをc+c/2で割るという単純なものとな ります。B点を経由しようがしまいが同じです。    物理の理論(物理だけではない)として、その理論自身が無矛盾であるという事 は当然の事であり、そうでなければ誰にも認められません。  『双子のパラドックス』が特殊相対論発表後に問題となったのは、双方が全く相 対的に見えると思われる場合に、一方の立場では地球に残った方が歳をとり、一方 の立場ではロケットの方が歳をとるように思われたからです。  その理論の通りに計算して矛盾がでる場合は、観測や実験結果云々以前に破棄さ れます。特殊相対論が破棄されなかったのは、双子のパラドックスでの双方の立場 が『一方は加速度運動(=重力場)を体感し、一方は感じない』という、完全に相 対的なものではなく、理論の適応外の現象を含んでいたからです。  これを解消するために一般相対性理論が生まれ、特殊相対性理論はその中の特殊 な条件で成り立つものとして後に(まあ名前からしてアインシュタインは最初から そのつもりだったのですが)規定されたのはご存じの通りです。                            axion   P.S.  ちなみに、ここで述べたような問題は、特殊相対論入門の本の演習     問題として割とポピュラーなものです。参考書を2、3冊本屋でめく     ると必ず発見できるでしょう。    − アインシュタインの相対性理論は間違っていたは間違っていた その9 −   【速度の合成則について】    確か以前の話題でも出てきたように、著者は『光だけ』を特別視して、常に光速 で動くものとし、その他の物質はガリレイの相対性原理で説明出来るという主張で す。ですから、0.8cで飛ぶ物体から0.8cの石を投げると光速度を越えるとい うような主張になっています。  この事の計算上の反論(?)は次の章に載ってます。   【0.5c+0.5c=0.8c ?】    この章では、また光速度の半分で飛ぶ、長さが地球−月間の半分のロケットが登 場します。  問題を要約すると次のようなものです。    問: 地球と月の間の半分の長さのロ    |←――― L ―――→|      ケットがあり、光速度の半分で飛                       んでいます。            / ̄\                  図のようにロケットの最下部A   |地球|          ○      から、光速度の半分の速さの物体   \_/          月      を投げます。             A_____B             物体の速さはいくらでしょうか?  |・→c/2    >→c/2       また、月に届くまでの時間を求め     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄            なさい。              |← L/2 →|                                                著者はロケットの先端が月に達した時、物体もロケットの先端に達するので、物 体は0.5c+0.5c=cとなると説明しています。そして、   >  この考えは一点の誤りもないはずです。物体に対するガリレオの相対性原理 > による計算ですし、地球の観測者から見たらとか、ロケットから地球を見たら > とか、ロケットの観測者がどうのこうのというのとは違うからです。   と述べています。『ガリレオの相対性原理』を相対論は採用していませんから、ニ ュートン力学の範疇では、確かにこの考えは『一点の誤り』もありません。  特殊相対論はガリレイ変換を捨てて、ローレンツ変換を採用したのですから、 「ガリレイ変換ではこのようになるぞ!」という主張が何故相対論への反論になる のかよく分かりません。  もしこれが「ローレンツ変換によるロケットの縮みや時間の遅れを考えたらこの ような矛盾が出るぞ」という反論ならば、それは相対論への反論になるでしょう。    で、著者は、   >  もし、地球から見て、ロケットの長さが短くなるとか、時間が遅れるとか、 > 地球と月の間の空間が曲がっているからと言うのでしたら、そのように計算し > てください。どんなに計算しても1.28秒にはなりません。   と述べているので、そのような計算をしてみます(もっとも、地球と月の間の空間 の曲がりは必要ありませんが)。ただし、1.28秒というのは、光が地球から月 へ行く時間ですから、この物体は0.8cという相対論の帰結通りの速度になるの で、もっと遅く月に届きます。    図は前回とほぼ同じです。ロケット         地球静止系       はγ倍に縮んでいます。で、この中で                     光速の半分の物体を投げるのですが、     |←――― L ―――→|   『光速の半分』と観測するのはロケッ                     ト内での事ですので、ロケット内の時    / ̄\              計で計算せねばなりません。        |地球|          ○                        \_/          月    ロケット内部の観測者は、ロケット     A___B         _ は縮んでおらず、ロケット長はL/2    |・→   >→c/2     /3 だと測ります。                ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     γ = ――  そしてロケット内部の観測において     |← →|         2 c/2の速度の物体を投げますから、      γL/2            AからBへ達する時間は、                                                                    L/2  L                                ――― = ―                         式1     c/2  c                                                                  になります。ただし、Bに物体が着いた事をAに乗っている観測者が知るには、B に到着した物体の光がAに届いてからになります。もちろん、Aにいる観測者は、 この光が届く時間を差し引いて計算します。  すなわち、Aから出発した物体がBに届いた事をAにいる観測者が見るのは、                   L    L                                 ― + ――             式2                 c   2c                  時間たった後なのですが、L/2cという時間は、Bに到着したという映像の光が BからAへ届く為に必要な時間ですから、これはAの観測者が差し引いて考えます。    で、この計算を地球上にいる観測者が再検討するとどうなるかです。まず求める べき『物体を地球上から見た速さ』をvとします。Aから出発してBに到着する時 間をまず求めますが、ロケットの長さがγであり、なおかつロケットそのものが光 速の半分で動いている事を考慮せねばなりません。すると、求める時間t1は、                                              γL      c           γL                ―― = (v − ―)t1    t1 = ――――      式3        2       2          2v−c                                               となります。そして『Bに物体が届いたという映像がAへ伝わる』という計算も、 ロケット内の観測者とは異なります。ロケット内部ではロケットは止まっていると 感じているので、L/2cだったのですが、地球から見れば、ロケットは縮んでい るし、Bへ届いたという映像がAへ伝わるのを、『Aが光速度の半分でお迎えに行 っている』のですから。  ここで、Bに物体が届いたという映像が、BからAへ伝わるまでの時間をt2と すれば、                                        γL      c           γL                ―― = (c + ―)t2     t2 = ――       式4        2       2           3c                                                です。つまり、式2の時間というのを、地球上で計算すると、t1+t2となる。ま た、時間の遅れを考慮すれば、γ倍を掛け算して、次のような関係式、                                                      L    L                                 ― + ――  = γ(t1 + t2)      式5           c   2c                                                            が出ます。後はこれをひょこひょこと解くだけです。                                                              3L   3   L      L       3               ―― = ―(―――― + ――)  ,γ=―より             2c   4 2v−c   3c      4                                                        5L     L                               ―― = ――――                             3c   2v−c                                                                   3                                     ―c + c = 2v                             5                                                                            v = 0.8c              式6                                       という事で、地球上から見た物体の速さは0.8cとなり、この章のタイトルにあ るように【0.5c+0.5c=0.8c】となりました。  速度が出れば月に届くまでの時間もすぐ出るので、こちらの計算は割愛します。    ここでの計算をもっと一般化すれば、相対論での速度の合成則が出てきます。数 値を入れずに全て記号で計算しなおすだけでいいのでそんなに難しくはないでしょ う。    この計算のカナメは、ロケットのローレンツ収縮はもちろんの事、B点に物体が 届いた事をAにいる観測者が知るには『Bへ届いた物体の映像がAに届かねばAは 判断できない』という点にあります。  この時地球上の観測者は『この映像をAが迎えに行っている』と観測し、ロケッ ト内では『静止している』とみているのでこのような事になります。この考えを更 に発展させれば、同時刻の相対性の問題が出てくるのです。                            axion   P.S.  ここで述べた問題も、特殊相対論入門の本の演習問題に必ず登場する     のではと思います。計算としてはそれほど難しいものではないですし、     著者ほどの人が理解できなかったとは思えない部分です。      もしかすると、本当に『教育的指導』としてこの本を書いたのかなと     も思えます。つまり、わざと間違えて、読者に考えさせるという手法で     すね。      教育現場では結構あるんですよ。先生がわざと間違えて見せて、生徒     に指摘させる。そして生徒自身にどこが間違っているか解かせるという     方法は・・・。 先生は道化師役にまわる訳です。      もしそうだとすると私は『まんまとハメられた』事になる訳ですが(^^;)。    − アインシュタインの相対性理論は間違っていたは間違っていた その10 −   【同時刻って存在しない?】    この章は単に著者の認識違いです。図のように列車が走っていて、BとCで同時 に光を発すれば、『DにとってCは近付いて                  いる光だから』DはCを先にみると著者は主   ________       張しています。                |       |                              B   D   C →等速直線  もちろんです。相対論はそれを否定してい   | __  __ |  運動   ません。ただ、Aにとっての同時ですが。     ̄○○ ̄ ̄○○ ̄                                              今度は列車内のDにいる人がBとCの光を       A 大地        同時にみる場合の時、大地にいるAという観                  測者はCの光の方が先にくるように見えるなんて事は有り得ないと主張しています。                                        もちろんです。相対論でも同じ主張を元に理論を組み立てています。         結局のところ、著者は相対論が示す結論と『同じ結論に』達しています。ただ違 うのは『著者は相対論の主張を逆に認識している』という部分です。  よって、この章で著者が自分の主張をすればするほど、相対論の主張をバックア ップしている事になっています。なんだかよく分からない章です(^_^;)。    ちなみに著者がこの章で『否定しようとしているモノ』は何かと考えると、昔 NHKでやっていた『アインシュタイン・ロマン』という特集の2作目でおかした 間違いの追及なのです。この放送では確かに著者が指摘しているような間違った列 車の思考実験のアニメが流されたのでした。    よってこの章に関しては(著者がNHKの間違いを相対論の間違いと勘違いして いる点を除けば)、賛同する部分もあります。    ちなみに『アインシュタイン・ロマン』の間違いは最初の放送だけで、その後の “再放送という名のリ・メイク版”では直されていました。  この指摘がNHK出版の雑誌に連載されていたというのは気の効いた皮肉です。   【同時とは?】    この章も著者は、相対論に反論するとしながら相対論の援護をしています。著者 の説明は相対論の主張そのものです。  ただし、著者は   >  光もガリレオの相対性原理に従うべきだとするアインシュタインの考え   と書いているように、アインシュタインの考えを誤解している(アインシュタイン はガリレオの相対性原理を否定しているのですから)だけで、主張している事はア インシュタインと同じです。   【出来事の順序が逆転する?】                          _______       まず、図のように左向きに走        ← <b  a  c|     っているロケットを考えてその            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄      長さを測る方法が間違っている       _______________  と著者は反論しています(本で               地面       は地面ではなく宇宙ステーショ                        ンになってます)。    bとcにはフラッシュが取り付けてあります。このフラッシュは強烈なので、一 度光ると地面のその部分に焼け焦げの跡を作ります。  さて、著者はこのフラッシュを『同時に』光らせた場合どうなるかという考察を していますが、aにいる観測者にとってフラッシュが同時に見えるのか、地面にい る観測者にとって同時に見えるのか述べていません。    著者が述べているように『光速は光源の運動によらない』という主張を通すなら ば(これは特殊相対論の公理でもある。著者は勘違いしているが)、どちらの観測 者にとって同時なのかを説明せねばなりません。    つまり、aの正面の地面にいる人が見て同時にフラッシュが見えた場合は、aの 『移動する観測者』にとっては、bからの光をお迎えに行き、cからの光を逃げな がら受け取るので、同時には見えません。  これは【同時刻って存在しない?】の章で著者自身が言明している事です。それ をこの章では、   >  いろんな間違いが指摘できますが、まず、先に述べたように「ステーショ > ンに同時刻に光が到達するためには、異なった時刻に光を発しなければなら > ない」というくだりです。そんな事をすれば、ロケットは動いているのです > から、足跡が短くなるのは当然です。   と反論(?)しています。特殊相対論はこの『当然』の事を述べているに過ぎませ ん。  『ステーションに同時刻に光が到達するためには、“aの観測者が見て”異なっ た時刻に光を発しなければならない』という、著者も言明しなおかつ『当然』と述 べている事しか特殊相対論は言っていません。   【時刻の逆転】             | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|                           |A   B   C| →      ここでの著者の主張の1つは当たって  |_________|列車の図   います。                  ○○   ○○   >  同じ場所で起きた二つの出来事の前後関係が崩れることは絶対にない。 > つまり中央のB点で二つのフラッシュを左右に取り付けて同時に光らせた > 場合、列車がどのようなスピードで走りながら観測してもフラッシュは同 > 時に光ることはまぎれもない事実てある。   というある相対論の本の主張に対し、   >  二つのフラッシュということは、もう同じ場所ではないのです。離れた > 地点です。中央のB点というのは一点しかありません。左右にフラッシュ > を取り付けてというと、もう同じ場所ではないのです。   と著者は反論します。その通りです。が、これは著者が言うような『重要な間違い』 なんでしょうか?    相対論の書かれたその“ある本”には、まず最初にAとCという『明らかに距離 の離れた』部分に置いたフラッシュの同時性について述べたあとに、Bの『そば』 の二つのフラッシュなら、どの観測者から見ても同時だと比較して述べている訳で す。確かに『二つのフラッシュ』ならば本当に同一の場所に置くことはできません ので厳密には違います。  でもそれは概念的な問題を述べているのであって、著者のこの発言は単なる『上 げ足取り』に思えます。そもそも2つのランプを厳密に同一場所に置くことなど不 可能なのですし、文の初めに『同じ場所で起きた二つの出来事の前後関係が崩れる ことは絶対にない』と述べてあるのですから言いたい事はわかる筈です。    なお、その後の著者の反論も、ほぼ相対論の主張と同じです。特に最後の方の、   >  ・・・光の速度は往と復とで見掛け上変化するため、観測者によってA > が先になったり、Cが先に見えたりします。しかし、それは事象の因果関 > 係が逆転したわけでもないし、時刻の逆転が起きたりしたわけでもありま > せん。きちっと順序だった計算ができる現象です。   という部分は特殊相対論の主張そのものです。因果関係が壊れるとか、時刻の逆転 がある等という事は一切ありません。因果律の崩壊が無いように組み立てられている のが特殊相対論ですから。   ***    以上の4つの章は、結局相対論の主張をそのまま擁護しているにも関わらず、そ れを相対論の主張ではないとして論破するという、何だかよく分からない方法で反 論しています。    で、著者の話で納得する読者というのは、『著者が否定している論理展開が相対 論の主張だ』と思う人ですね。著者が否定しているものは相対論でも否定している ものであるので、『著者の主張だけ見ればもっともな部分が多い』のは当然なので す。  まあ、こういう事は日常でもよくある事で、“A氏”の噂を別の人から聞いて 『その別の人が述べる“A氏”の性格』がすごく嫌な性格だったとしても、実際の “A氏”の性格は全然別だったりする訳です。  よって、『別の人が述べる“A氏”の性格』は嫌いだが、『実際の“A氏”の性 格』は好きなんて事にもなります。これと同じですね。                            axion    − アインシュタインの相対性理論は間違っていたは間違っていた その11 −   【時計の遅れ】                       C   C’      C''   大抵の相対論の通俗本にある『時計の遅れ』  ̄    ̄        ̄   の説明に対する反論が述べられています。       | |      |     AとCの対になった鏡があって、この鏡が     |   |     |    横に動いている(図の→の方向)場合、光は     |   |    |     A→C’→A’→C''と動くから、AとCを    |     |   |  →  静止していると見る系より光の道筋は長い。    |     |  |      よって、この光の道筋が伸びた分だけ時間の   |       | |      ズレが生じで、時間の遅れが計算できるとい  _       _       う例の話への反論です。           A       A’                                             著者は今までの持論の繰り返しで、『Aから出た光はCへ行きC’へは行かない。 よって、C’に行くという主張は作り話だと主張します。  『作り話』という主張が何らかの実験に基づくものならばよいのですが、そのよ うな主張は見られません。C’へ行くという事は、以前シンクロトロン放射光につ いて述べてますから、C’へ行くという事は実験に基づいています。  もっとも、アインシュタインがこれを思い付いた時はそのような実験結果はほと んど無かったので『どちらが正しいか』という結論は当時は出てませんでした。    ついでに、前面に光が出るというのとは少し指向が違うのですが、光速近くに走 る素粒子についての面白い話がありますので引用しておきます。  高速電子を泡箱や霧箱という検出器に入れると、軌跡に沿ってスジができます。 このスジは、電荷を持つ物体が傍を通った為に、その周囲の分子がイオン化し、そ れを核にして霧滴や泡が成長するからです。飛行機雲を類推してもらえばいいでし ょう。  電子が速くなってくると、ある分子の傍に電子が滞在する時間が少なくなります。 よって、傍の分子がイオン化する前に電子が通りすぎてしまう場合も多くなり、軌 跡が薄くなります。  で、ドンドン速くなるとドンドン薄くなるかというとそうではなく、ある程度速 くなるとまた軌跡が濃くなってきます。何故かというと電場そのものがローレンツ 収縮を受けて、進行方向の横方向へ電場が縮み、横方向の場が強くなるからです。  このように光速に近付くと電子そのものの性質が変わってくるため、横に出るべ き光が前に偏って出るなんて事がおこるのも不思議ではないのです。    次に著者の矛先は『光を使わなくても(鉄砲の弾のようなものでも)時間の遅れ は説明できる』という相対論の主張に向けられます。  この弾丸による説明の部分は、著者のように相対論について大きく外しているの は例外としても、結構よく勘違いされる部分です(光のみが時間の遅れを説明でき ると勘違いしている人が以外に多い)。よって実際に計算してみる事をお勧めしま す。    で、著者の反論はこの説明に対し、直接的な反論を避け、次のように述べていま す。   >  いちばん気になるのは、ここでも相対性理論の正しさを示そうと言いなが > ら、相対性理論による「速度の合成則」や「質量の増加」、「物差しの短縮」 > を平気で使っていることです。そういうものを使った上で、時間の遅れを説い > ているのだから、もう何をか言わんやです。上の考察を全部きちっとニュート > ン力学的に、つまりガリレオの相対性原理にもとづいて計算すれば、時間の遅 > れなど出てきません。    ニュートン力学とガリレオの相対性原理を使って時間の遅れが出てくる訳があり ません。ニュートン力学と相対性理論とは結果が異なっているのですから、前提も 異なっていて当たり前です。  また、「速度の合成則」を使って「時間の遅れ」を出すという方法が間違ってい るいう主張も変なものです。もし『ある部分でニュートン力学を使いながら、一方 で時間の遅れを採用する』なんて事をしていたら確かに変ですが。    ここで言う『相対論の正しさを示す』というのは『相対論自身が無矛盾である』 という事を示すものです。  ニュートン力学と相対論の結論が違っていて『どちらが正しいか?』を比べるの は実験的手段しか存在しません。    ニュートン力学では時間の遅れは無いし、相対論ではあるという異なった結果が でる。双方とも自己の論理が無矛盾ならはどちらも『数学的に正しい仮説』です。  で、後は『自然はどちらの理論を採用しているか(あるいはどちらも採用してい ないのか)』は 実験によって決められます。  実験によってニュートン力学は敗北したという事であり、ニュートン力学に不手 際が発覚した為に敗北した訳ではありません。    余談になりますが、一般相対性理論の方はまだまだ対抗理論がありまして、ブラ ンス−ディッケ理論(風前の灯し火)だとか、ローゼン理論(よく知らない^^;)だ とか、成相理論(一般相対論を近似として内在しているから呉越同舟?)だとかあ る訳です。  で、それぞれは全て『数学的に正しい仮説』なのでして、理論展開に矛盾がある 訳ではありません。既に消えたホワイトヘッド理論だってそうです(この理論だと 銀河によって潮汐が生じるのでボツとなった^_^;)。    それからもうひとつ。よくある勘違いの一つですが、著者は次のような反論もし ています。素粒子の振る舞いにおける時間の遅れの反論として、   >  ・・・私は素粒子の衝突力学に、等速直線運動の慣性系での理論である特殊 > 相対性理論を利用していることに苛立ちを覚えています。    著者が特殊相対性理論の参考書(入門書でよい)をめくったらもっと憤慨するで しょう。いきなり『特殊相対論的力学』等という加速度なしには考えられない力学 の話が出てきますから。  やっている事は対した事ではなく、速度vに対する式が出ているのだから、それ の時間微分が加速度だろうというそれだけの話です。  ニュートン力学も単なるF=maという加速度のみを扱った理論を積分してvの 式にしたりxの式にしたりしていますし、それと同じです。  第一、F=maを、                →       →                          d(mv)/dt = F                と、運動量の時間微分で表すというニュートンのやり方も単なる仮説です。著者の 論法でいけば、『ニュートン力学は文字通り“力”しか扱えない筈なのに、速度の 式などに使うとはもっての他だ!』・・・てなことになってしまいます(^_^;)。    ただし、『特殊相対論の話を時間微分して加速度を扱えるように拡張する事が可 能か否か?』という事は実験により確かめられねばなりません(数学的には正しい 仮説ではありますが)。で、それらが素粒子実験でドンピシャと当たっているとい う話です。                            axion    − アインシュタインの相対性理論は間違っていたは間違っていた その12 −   【原子時計の遅れ】                                        この章では原子時計の話がでています。原 受信器          発信器 子時計の機構を簡単に説明します。基本的に  /  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|←〜〜\  は電波発&受信装置に毛が生えた程度のもの  | ←〜| 発振ガス |←〜〜 | です。                   \  |_____|←〜〜/   レーザーやメーザーの発振を考えると分か  |            |  るのですが、原子や分子にはそれ固有の『吸  |            |  収しやすい波長』というものが存在します。  ・―――(信号処理部)――・  吸収しやすい波長は、逆に励起されたガスが                  その波長を発するという事にもなります。                    吸収を利用したのが、太陽からの光に見られる暗線(フラウンホッファー線)の スペクトル解析であり、逆に光っているのはトンネル等にある黄色いナトリウム燈 になります。  原子時計は、前者の『特定の波長の光を吸収する現象』を利用します。ある発振 器からガスの入った筒へ向けて光(といっても未だ可視光線による原子時計は存在 しないので、実際には電波)を発射します。その光が、筒の中のガスが吸収できる 特定の光だった場合はそれを吸収し、受信器にはほとんど到達しません。  ですが、ここで僅かでも波長がズレると、ガスは折角もらった光に触手を伸ばす 事なく、そのまま素通りさせます。まあ非常に好き嫌いの激しいガスだと思えばよ いでしょう。いや、好き嫌いがはっきりしていればいるほど、僅かなズレを検出で きるので好都合です(原子時計にセシウムが使われるのは、もっとも好き嫌いが激 しいからだと思って下さい)。  受信器に発信器からの光が沢山くるようになったら、それは波長がズレている証 拠です。この信号を素早く処理し、そのズレを補正して発信器から出す波長を変え て、ちゃんとガスが吸収するように直します。後はこの繰り返しです。  このようなフィードバック機構のついた発信&受信器というのが原子時計の正体 です。  で、この時計の精度は10^-11以下です。著者は地上1気圧の時の原子時計と富 士山の上の0.67気圧の差によって精度が変わる事を懸念していますが、例え電 波の送受信回路がこれにより変化したとしても、フィードバック機構となっている のはガスそのものですから、恒常的な変化は生じ得ません。第一、1960年代に 時計の基準として原子時計が認められたのは、気圧の変化等はもちろん、振動にも 影響されない理想的な時計だからです。  著者は60年代から今まで30年もの間『誰も気圧の変化等における変化につい て指摘しなかった』と思っているのでしょうか(^_^;)。そんな誰でも思うような単 純な検定を受ける事なく、度量衡会議で標準時計としての原子時計が認められるよ うになったと考えているのでしょうか。    著者はこの原子時計を使った相対論の検証実験について次のように反論します。 著者は富士山頂と地上とで、富士山の方が時計の進みが早い事を引用した後に、   >  ・・・ジェット機に原子時計を乗せて何時間も飛ばしたら速い速度で時計 > が運動したから相対性理論によって時計が遅れた。計算値とぴたり一致した、 > という話。これもちょっと考えればウソであることがすぐわかります。富士 > 山の頂上くらいで時計が進むと言いながら、ジェット機の飛ぶ高度では全く > 時計は進まず、遅れる方を計算してそれがぴたり合うのですから何をか言わ > んやです。    これは単なる著者の事実誤認です。多分、著者の述べている実験というのは、 1975年9月〜1976年1月の間に行われたメリーランド大学の実験の事だと 思います。  この実験は、飛行機に原子時計を積み、地上1万mを飛ばして、地上の時計と比 べた実験です。    まず、著者の致命的な事実誤認は『飛行機に乗っている時計は遅れた』という結 果です。実際の実験では、時計は進んでいます。結果そのものが違っていますから、 著者の主張はこれだけで単なる事実誤認だと分かります。ちなみに、高度1万mを 15時間飛ばした時の飛行機上の原子時計の進みは、47.1nsでした(この実 験を5回行って平均を出しています)。    また、もう1つの著者の事実誤認は、著者が述べているように「ジェット機の高 度では全く時計は進まず、遅れる方を計算して・・・」というような計算をしてい ないという事。  こんなミスをする筈がないでしょう。当然ながら、地上1万mを飛んだという重 力効果(一般相対論的効果)と、飛行機の速度効果(特殊相対論的効果)の2つが 計算されており、前者が機上の時計を進める働きをし、後者が時計を遅らせるとい う計算をちゃんとしています。  重力効果によって時計は52.8ns進み、速度効果で5.7nsだけ時計が遅れ たので、正味の時計の進みが47.1nsとなったのでした。    また、著者の述べている実験としてもう1つの候補が上げられます。ハフェーレ とキーティングが行った実験です(1971年10月)。  この実験は、2機の飛行機に原子時計を載せ(誤差を考えて4台ずつ)、それぞ れ東回りと西回りで実験をし、地球の回転の効果を調べたものです。  もちろんこの実験でも、速度による時計の遅れと、重力による時計の進みの両方 が計算されています。  世界一周旅行をする時は東回りにしましょう。寿命が数十nsだけ伸びる事が期 待されます。手元のパソコンの1クロック分くらいは長生きできますよ(^_^;)。                            axion    − アインシュタインの相対性理論は間違っていたは間違っていた その13 −   【弟が兄より歳を取る?】                                        いわゆる『双子のパラドックス』に対する反論です。ただ、この章で肴にされて 双子のパラドックスの説明は、個人的にもあまり好きなものではないので(著者の 反論とは全然別な理由で)、ちょっと複雑な心境です。  元の論は次のようなものです。    地球に弟が残り、ロケットに兄が乗り込み       行き         ます。そして、地球から『1秒置きに』映像          _       をロケットへ送ります。             ○〜→  )_>       行きの時は、ロケットは離れていくので、    地球   ロケット     地球からの映像は1秒では届かず、それ以上                  の間隔で受け取ります。                            帰りは、ロケットが近付くので、1秒より       帰り         早い間隔で映像を受け取ります。               _                               ○〜→  <_(       もしここで、行きの映像の滞りと、帰りの    地球   ロケット     映像の過剰送りが『プラスマイナス0』であ                  れば文句はないのですが、相対論的なドップラー効果を考えると、2つを合わせて も、送られてくる映像が多いので、ロケットに乗っている方が歳を取らないという 説明です。  具体的な話として、速さ0.6cの場合、行きは(1秒で1枚の映像である筈なの に)2秒に1枚を受け取り、帰りは、0.5秒に1枚受け取る。  つまり、ロケット時間で行きが4年帰りが4年とすると、行きは2年分の映像を 受け取り、帰りは8年分の映像を受け取るから、ロケット内では8年しかたってい ないのに、映像は10年分送られてくるという説明です。    この説明では『双子のパラドックスの真のパラドックス部分を説明していない』 のです。つまり、この論法をロケットが静止しているとして話すと兄の方が歳を取 る事になってしまって、見事にパラドックスとなってしまう訳ですね(それなりの 補足を行えば、これでも十分説明出来るのですが)。    また、著者の反論にあるように、ドップラー効果を使った説明の場合、非相対論 的なドップラー効果においても、映像が遅れて『見えたり』するのは当然ですから、 それと誤解されやすいというデメリットがあります。  もちろん非相対論的ドップラー効果の場合は、行きと帰りを足すと『プラスマイ ナス0』になります。    ちなみに、著者はこの『非相対論的ドップラー効果を否定する』という、訳の分 からない行動に出ています。ドップラー効果についてもあまり知らないのでしょう か?  例えば(本質的な部分ではないので恐縮ですが)、   >  パトカーがサイレンを鳴らしながら遠ざかっている時、サイレンの音を半分 > しか聞いてないですか? 近付いている時、いっぱい聞きますか?    もちろん、離れている時は少ししか聞かず、近付く時は沢山聞きます。著者のこ の質問の答えは『もちろんその通り』というものになりますが、これは相対論は全 く関係ない話です。    例えば図のように音速が360m/sの    _              ○  時に、360m離れた地点の音は1  _/ \__   〜→360m/s   |  秒かかってやってきます。      |_____|→36m/s       /\ サイレンが1秒1回でているとする   ○  ○               と、車が止まっていれば観測者は、    |←―――― 360m ―――→|  やはり1秒に1回の音を聞きます。                        ところが、車が36m/sで走っているとすると、10秒後には車は観測者の傍まで来て しまいます。この10秒間に観測者が聞く音は11回なのです。  もし車が360m先に止まっていたままだったとすれば、この11回目のサイレ ン音は『1秒後』に聞く事となりますから、11秒間に11個のサイレンを聞いた 事になりツジツマは合います。ところが、車が観測者の場所に来てしまうと、11 回目のサイレンは目の前(耳の前?)で聞くことになってしまいタイムラグが0と なる。だから、サイレン音は10秒の間に11回聞こえる。これがドップラー効果 の本質なのです。  この議論は全く相対論と関係ありません。著者はこの事まで相対論の話だとして 否定しているので、まあ矛先がアサッテの方向を向いている事になるのですが、時 計の遅れ等をドップラー効果で説明すると、こういう勘違いが余分に増えてしまう のでした。  ですから、冒頭に述べましたように、この手の説明は好きではないのです。ここ で述べた非相対論的ドップラー効果を相対論的にするには、車の時計で1秒1回鳴 らすとしているサイレンは、実際は1秒以上の間隔で鳴っているという事を付け加 えた後、ドップラー効果を考えればいい。  こんな二度手間をかけるほどのメリットは、この『ドップラー効果による説明』 にはないと思います。よって、著者が述べているように、   >  相対性理論では、いつも問題をすげ替えて、煙に巻こうとするクセがあり > ます。   と言われても仕方がない説明法になっているのです(著者の問題認識とは全然違う 立場ですけど)。   ***    それからもう1つ。珍しく著者は、自らが反論している本の題名を書いています (その他の部分は「あえて書きません」とか書いてあるだけで、何という本の何処 を指摘しているのか分からないようになっています)。    ここで登場する本は、旧ソ連の物理学者のデ・スコベリツィン氏の書いた『相対 性理論における双子のパラドックス(1966年)』という本です。    で、著者の紹介によるとこの本は、    ・ 準光速で運動するロケットは実現不可能で、確かめられる議論ではない。  ・ 何億トンもの燃料がいるから絶対に遠い将来でも不可能だ。  ・ 宇宙線から飛行士を守るため、ロケットの壁を数メートルにしなければな   らないから実現不能だ。   と書いている(確かに書いてます)とし、著者独自の結論として、   >  これが本当の物理学なんでしょうか。そして実現できない事だから、兄弟の > パラドックスなど問題にするな、と説いているのです。   と述べます。  著者の紹介部分だけ読むと確かにそうだと感じますね。が、実際は違います。幸 か不幸か(^_^;)、私はこの本を持っています。そこで、デ・スコベリツィン氏がこ のような発言を書いた背景を付け加えます。    まず、『実現不可能』と釘を刺しているのは、SFの著者があまりにも簡単にロ ケットを光速近くにまで加速する話を書いているので、それを牽制するために書か れているという事です。  その事は次のような一文を引用してくれば分かるでしょう。   >  それにもかかわらずSFなどの著者たちは、実際には実現不可能な光速に > 近い速さで飛行する装置を想定し、これに相対論を適応することによって得 > られる結論から導かれるパラドックスをあまりに強調しすぎる傾向がある。 > ある場合にはこれら著者たちは、彼らが想定する状況に対する限界を考慮せ > ずにつぎからつぎへと空想的な仮説に基づいた議論を進めていく。    確かに、『現実不可能』と断定するのは誤解の元かも知れませんが、スコベリツ ィン氏は、ちゃんと核融合ロケットや光子ロケットの話も述べており、その実現性 を否定している訳ではありません。    また、このような論が述べられているのは本の序論の部分であり、その前のまえ がきには、   >  この部分は本書の主題とあまり関係がないので、とばして読まれてもさし > つかえない。   と書かれており、続く第1章からは、双子のパラドックスの事について手を変え品 を変え、あらゆる方向から取り組んでいます。  ページ数で言うと、序論はほんの13ページ、それ以降の双子のパラドックスに 関する話題は、15〜186ページになります。    この本は、「間違い・・・」の著者の言うように、『実現できない事だから、兄 弟のパラドックスなど問題にするな』などと書かれた本では決してありません。そ れとは逆に、この本の主題は、間違いなく兄弟のパラドックスそのものなのです。    著者の主張だけ見ていると、現実不可能とだけ書いてある本のように誤解される かも知れませんが、それではあまりにもデ・スコベリツィン氏が可哀相です。                            axion    − アインシュタインの相対性理論は間違っていたは間違っていた その14 −   【光の横ドップラー効果について】                                        ここでも、著者は『光は見えない』とか思考実験とまったく関係のない部分をつ ついています。飽きない人です。これに付き合うのは止めます。  この章でも、著者は(非相対論的な)ドップラー効果の結論を間違えています。 相対論抜きで『自分の真ん前にまで走ってきた宇宙船から出た光は昔から言われて いるドップラー効果によって振動数が小さくなる』と述べています。  この結論は間違っています。もっとも高校で習う『昔からのドップラー効果』が 間違っているのかも知れませんが。   【フィゾーの実験】    この実験についてはSFの会議室あたりで詳しく書いたので特にふれません。著 者はこの章で、   >  フィゾーの実験は非常に重要な意味を持っています。それは光は真空中と、 > モノがある場所とでは光速度が変わってくることを示しています。そして媒 > 質の運動によっても光速度は変化することを示しています。   と述べていますが、これは19世紀後半では常識でありますし、相対論もこれを否 定したりしてません。著者は一体何に反論しているのでしょうか?    また、速度vで流れる液体(屈折率n)中の光速度Wを相対論で表した式、           W = w+v(1−1/n^2)  (wは静止液体中の光速度)   を引用した直後に、   >  アインシュタインは液体中の光速度は液体が静止していていても、動いて > ても同一だと仮定しています。   と述べていますが、どのように見ればこういう結論に辿りつくのか分かりません。 液体中の光速度Wが、液体の速度vによって変わらないという主張ならば、『Wを 示す式の中にvが入っている筈がない』という事は誰でも分かります。  第一、静止流体中の光速度も運動流体中の光速度も同じだったなら、                    W = w   で終わりではないですか(^_^;)。わざわざ、「静止している流体の速度をwとする」 なんて書く筈がありません。   【重力で光が曲がる】    著者は『光に質量があるので重力で曲がる。これはニュートン力学で表される』 と主張しています。  以前説明しましたが、『光に質量があった場合どの程度曲げられるか?』という 計算は1801年に既に行われており、1911年にはアインシュタイン自身で計 算されています。    著者はこの“光の質量”による曲がりを「とても小さいものだと思います」と単 に述べているだけですが、アインシュタインは0.88秒と値まで出しています。一 般相対論による再計算によると、曲がりはこの2倍であるという結果がでました。  さてどちらが正しいかと観測したら、一般相対論による結果の方が正しかったと いう事実があります。著者はこの事を知っているのでしょうか?    また、光が曲がるのはこういう重力作用が主ではなく、星間ガス等を光が通るた めに屈折するのだと説明しています。  まあ実際に地球の大気などで、水平線に見える太陽は34分23秒ほど浮き上が って見えます。ですから地平線に夕陽が見えている時は実際は既に地平線の下に太 陽があったりします(既に沈んでいる太陽が見えているのです)。だから、著者の 述べるような事は実際に有り得る事なので、これも実験によって確かめる必要があ ります。  その方法は著者自身が本の中で述べています。   >  私は前述したように、太陽の傍には無数の荷電粒子や、微粒子が集まってい > るので、それらによって電波が屈折したためだと思っています。もし空間が歪 > んでいるためなら、どんな周波数の電波でも一様に遅れる筈です。しかし、私 > の予想では、周波数によって、つまり波長によって曲がり方が異なり、遅れる > 時間も違ってくると思っています。これは光に対しても同様で、色の異なる光 > は屈折率が違うので、曲がり方が違ってくると予想されています。いつかきっ > と、この事は実証されるでしょう。    著者の主張は完璧です。光の曲がりが荷電粒子等の屈折によるものなのか、ある いは空間の曲がりによるものなのかは、『周波数の違う光や電波での曲がりを比べ て見ればいい』のです。  著者のように「いつかきっと・・・」ではなく、これは既に確かめられています。 著者の予想に反して、どのような波長でも曲がりは同じでした。太陽周辺での光の 曲がりは、昔は日食を利用した『可視光線の曲がりを調べる』ものだったのですが、 現在は『電波望遠鏡で調べる』のが普通です。  荷電粒子の屈折によるものなら、電波望遠鏡で曲がりを調べる段階で、大問題に なっていると著者は思わなかったのでしょうか?    皮肉な事に、相対論で太陽による光の曲がりを説明している本には、『一般相対 論の重力による曲がりのよいところは、電波や光やX線を区別せずに曲げてくれる ところである』とはっきり述べているものもあります。    著者は自分で検証法を述べて、自分の主張の実験的間違いを暴露してしまった事 になります。  なにやらこれは、マイケルソンがエーテルの存在を調べるために、逆に自身の実 験でそれを葬り去ってしまったのと似ています。   【重力による赤方偏移の怪】    ここでも荷電粒子やダークマターがうんぬんと『光屈折説』を述べてますが、上 記したように、既に実験的に否定されているのでここでは追及しません。                                        ただ、誰でも気付くであろうミスを著者がしています       □光検出  ので、ちょっと触れておきます。                        著者は、『重力を振り切って出ていく光は波長が伸び             る』という、いわゆる赤方偏移を『等価原理』を用いて             反論しています。                                                             /光\  ↑   図のように、加速中のロケットがあります。ロケット     | ↑ | 加  の乗客は、ロケットが加速しているのか重力場の中に静     | | | 速  止しているのか分かりません。これが等価原理です。      |  | 中   で、ロケットから光を出します。重力場を離れていく    /| ○ |\   光は波長が伸びるのですが、このロケットから出ていく     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   光は、光の後をロケットが追い掛けていくのでドップラー効果によって波長が短く なっているではないか! その事はロケットの前方に光検出器を置けばすぐ分かる。    「おいおい」と言いたくなりませんか(^_^;)。ロケットから見ると光検出器は、 ロケットに向かって落ちているのですから、ドップラー効果によって波長が短くな るのは当然です。  よって、この図の光検出器が『ロケットから見て止まっている』ようにするため には、ロケットと同じ加速で上向きに飛ばす必要があるのは誰の目にも明らかです。 では実際にその場合、赤方偏移が観測されるのかという事ですが・・・これは特殊 相対論のみで計算可能です。腕試しだと思ってやってみて下さい。                            axion   P.S.  そろそろ切り上げねばなりませんね。後3〜4回でケリがつくと思い     ますので、もう少し我慢して下さいm(__)m。    − アインシュタインの相対性理論は間違っていたは間違っていた その15 −   【水星の近日点の移動】                                        この章の話は個人的にも初めて聞くものですので、ちょっと評価できません。事 実関係をご存じの方はお知らせ願います。  ここでは、例の水星が太陽を回る時に、近日点が次第にずれていくという事の説 明をしています。現在では一般相対論による説明がなされている訳ですが、著者は これを否定しているのです。    著者の主張は次の通りです。   >  現在では、パソコン程度のコンピュータでも、一般相対性理論ではない、 > 別の理論、多くはニュートン力学ですが、これで計算して水星の近日点の移 > 動は説明がつきます。               ・・・ 中略 ・・・   (アインシュタインが一般相対論で、近日点移動を説明したという話の後に・・・) >  でも、その後太陽は円形ではなく、自転のため扁平になっている事がわか > り、アインシュタインの計算は太陽は完全な円形だとしているので、どうも、 > この計算は怪しいということがわかってきました。それで、天文学者が太陽 > の扁平率から引力の摂動を考慮に入れてニュートン力学的に計算し直したら、 > 殆ど誤差はなくなりました。でもまだ、ほんの0.5くらいの誤差が残ってい > るのを、空間が歪んでいるせいだとして、現在にいたっています。    もしニュートン力学によって、43秒(一般相対論によって説明されたのは、 100年当たり43秒の近日点のズレだった。ズレそのものは100年で574秒 に達する)のズレのうち、0.5秒を残して残り42.5秒が説明出来たのなら、一 般相対論はあっさり捨てられるべきです。現在に一般相対論が残る余地はこの段階 で既に無くなっている筈です。    私が知っている論争は、『近日点移動がニュートン力学によって説明された』と 言うものではなく、『ブランス−ディッケ理論によって説明された』というもので す。  アインシュタインが円形の太陽を仮定した部分に間違いがあって計算が怪しいと 指摘をしたのもディッケですから、著者はこの話を引用してきたのではないかと推 測されます。  ただし、ブランス−ディッケ理論はニュートン力学的ではありません。  『ニュートン力学的』という表現だと何だかよく分からないので言い換えると、 『非計量理論的』とでもいいましょうか? 簡単に言えば時空を平らなままで計算 しようという理論の事です。    『電磁場的』といってもいいかもしれません。電磁場の場合は場そのものが曲が ったりせず、単なる力の作用する入れ物として存在していますから、計量理論が介 在する予知がありません。  ですから、重力場も幾何学的にどうこう言う理論ではなくて、電磁場のような非 計量的なものにしようという試みがありました。ニュートン力学への回帰を望む人 も結構いたわけです。ただし、これらの試みは尽く失敗しておりまして、著者の言 うように『80年も誰も気付かなかった』のではなく、尽く淘汰されてしまったと いうのが本当の話です。  逆に、電磁場も計量的な扱いができるように拡張しようと試みた人もいる訳です。 有名なトコではアインシュタインの『統一場理論』なんてのがソレですが、一番最 初にこの拡張に手を出したのは、H.ワイルのようです。1918年(一般相対論発 表の3年後)ですから、すごく早いですね。ワイルは一般相対論の計量の線素その ものを一般化するためにベクトル同士の比較に接続場を導入したりしてますが・・ ・このへんの話は私の能力を越えてますからうやむやにしときます(^_^;)。  ちなみに、このへんの努力は現在でも行われています(ゲージ場の話になります)。    で、ブランス−ディッケ理論ですが、ニュートン力学的ではなくて、一般相対論 と同様曲がった時空を採用(時空の尺度が計量で決まる計量理論だった)し、かつ それにスカラー場を上乗せしました。  どちらかというと一般相対論に“トッピング”した理論です。テンソル場にスカ ラー場をくっつけているので、別名『スカラー・テンソル理論』とも言います。こ こで、スカラー場の時空における寄与の割合を示したωなるものが導入されており、 ωが大きな数になると一般相対論と同じになってしまいます。    ωの数を適当に取ると(ブランスとディッケはωは7くらいとした)、水星の近 日点移動が、一般相対性理論より小さくなります。    一般相対性理論による予言は、近日点移動は43秒でしたが、ブランスディッケ 理論ではω=5の時は、水星の近日点移動は40秒となります(ω=10なら41 秒、ω=100なら42.8秒)。  ただ近日点移動は43.11±0.21秒と観測されていましたから、ω=7付近 の値(40秒程度)では一般相対論の予言に負けます。そこでディッケ達が注目し たのが、『アインシュタインの計算方法では太陽の扁平率による補正がない』とい う部分でした。    太陽の自転による扁平率を測定したところ、52kmほど赤道の方が長い程だと わかり、そこからこの扁平による水星の近日点移動の寄与が3秒。よって、実際に 空間の曲がりによってズレているのは40秒だけとなり、ブランス−ディッケ理論 の値の方が観測事実に近い! ・・・という話になった訳です。    この扁平率の観測は1966年に行われて、ω=7とした時のブランス−ディッ ケ理論とピタリ合うという事になり、1960年代後半から70年代前半には、ブ ランス−ディッケ理論に関する論文(ブランス−ディッケ理論に基づく中性子星や ブラックホール。ブランス−ディッケ理論に基づく宇宙理論等)が多数出たようで す。  1970年代前半の物理の本を見れば、この時までに生き残っている重力理論は 一般相対論と肩を並べてブランス−ディッケ理論も堂々と扱われてます(ω>6と いう注釈入りで)。当時の観測ではどちらが正しいかは分かっていませんでした。    その後、太陽の扁平率の観測が何度も行われ、1980年代初頭には扁平率はそ んなに大きくないと観測されており、結局のところ、扁平によって生じる補正は 0.5秒程度とされています。    ・・・まさかとは思いますが、著者はこの0.5秒の誤差を勘違いしているのでは? しかし、いくら何でもそのような勘違いは無いとは思いますが。  要するに、ここで言う0.5秒の誤差とは、近日点移動のズレは43秒だと思われ ていたのが、太陽の扁平の補正により、空間の歪みによるズレは、本当は42.5秒 ではないかという疑惑が持たれたというものです。    また、その他、太陽の光の曲がりの詳しい観測も行われるようになって、一般相 対論の予言による値と観測値とが0.1%で当たるようになってきました。  ブランス−ディッケ理論では、ω=500くらいにしないと現象を説明出来無く なったのです。ωが大きくなると、ブランス−ディッケ理論は一般相対性理論に限 り無く近くなりますから、それなら簡単な一般相対論の方がいいやという事で、最 近はブランス−ディッケ理論は忘れ去られようとしている感じです。    ただし、科学者というのはトコトン突き詰めるのが商売ですから、現在でも扁平 率のもっと正確な値を得るべく、太陽探査衛星計画(ユリシーズ計画)を進めてい ます。ωの値の下限がもっと上になるようなら、さらに一般相対論が実証されるこ とになります。    うーむ。余談ばかりになってしまいましたが、どちらにせよ、『ニュートン力学 が、現在のままの形で復活する』という事は、未来永劫ありません。    後から気付いたのですが、もしかすると著者は次のように述べたのでは・・・   >  現在では、パソコン程度のコンピュータでも、一般相対性理論ではない、 > 別の理論、多くはニュートン力学ですが、これで計算して水星の近日点の移 > 動は説明がつきます。   という著者の話を補足すると、    『一般相対性理論でない別の理論(→ブランスディッケ理論)、多くはニュー   トン力学ですが(→ブランスディッケ理論は含まれない)、これで計算して   水星の近日点の移動は説明がつきます(→でも、説明可能なのはブランス−   ディッケ理論であって、多くのニュートン力学の理論の方ではないよ)  』    もしその通りだとすると、「多くはニュートン力学ですが」という注釈が、まる で近日点移動がニュートン力学で説明出来てしまうような“誤解”を生むので、 真意(?)が伝わらずよくないですね(^^;)。                            axion    − アインシュタインの相対性理論は間違っていたは間違っていた その16 −   【空間とは】                                        この章は、単に著者の物理感を述べたものですから是か否かを言っても仕方がな いので割愛します。  ただし、著者が抱いている『相対論感』も述べてありますが、これは明らかに相 対論とは異質な概念です。著者が抱いている相対論のイメージというのは、しいて 言うと『完全なるマッハ原理の世界』のようです。  ただ、そうだとすると、マッハ原理に引かれながら、全てのものを相対的に考え ようとするマッハ原理には付いて行かなかった相対論よりも、マッハ原理により忠 実に従おうとするブランス−ディッケ理論を支持するという行動はどうもよく分か らなかったりしますが・・・。   【物差しが縮む怪】    この章の間違いは、多くの人がひっかかる部分のようです。ここに出てくる思考 実験を書きます。                    _________           列車の中に2つの電球があります。 |   ←○→   |         この電球の光を外から見てみます。  |    ○    |  →v      まず最初に上の方の電球が点灯し  |_________|         ました。列車は動いていますが、一    ○○   ○○           度光源から出た光は列車の運動に左                      右されないので、列車後部に光が当    _________         たるのが先です。           |←〜  ○〜→  |         図では2コマ目で、光が列車後部に  |    ○    |  →v    当たってますが、前方へ行く光は4コ  |_________|        マ目でやっとぶつかっています。      ○○   ○○                                                 さて、下の方の電球は遅れて点灯しま   _________        す。3コマ目で光が左右に伸びて、4コ  |    ○ 〜→ |       マ目で、後方に光が当たっています。   |   ←○→   |  →v                       |_________|        そして、この結果から次のような事が    ○○   ○○         言えます。                                  『列車の外にいる観測者にとって』列車   _________       前方と列車後方に『同時に』光を届かせた  |    ○  〜→|A     かったら、『列車中央の同じ位置に並んで B|←〜  ○〜→  |  →v  いる』2つの電球を『別々に』光らせねば  |_________|      ならない・・・。               ○○   ○○                                               もちろん、2つの電球が左右に光を発射しているので、AとBの光は別々の電球 からの光ですし、2コマ目には上の方の電球から後方へ光が飛んでいて、6コマ目 (描いてませんが)で、下の方の電球の光が前方へ当たります。  よって、これらが気になる場合は、電球を懐中電灯とし、上の懐中電灯は前方を 向いており、下の懐中電灯は後方を向いているとしてやればいいでしょう。    ともかく、この実験で言える事は、『外から見て列車の前方と後方を同時に照ら すには、中央の2つの懐中電灯のスイッチを押すのを、少しズラして押さねばなら ない』という事です。    著者はこれを批判します。   >  この列車は等速直線運動をしている例ですので、アインシュタインによれ > ば、光1は(同様に光2も)、列車内で発射されているのですから、列車の > 両端に同時に到達する筈です。    これは、列車内で観測する人にとっては当然の事です(光1とは上の電球から出 た光。光2は下の電球から出た光です)。上の電球から出た光は、列車内の観測者 にとって同時に前方と後方に到達しますし、下の方の電球の光も同様です。  この事について特に間違いはありませんし、その通りなのですが、どうやら著者 は『この思考実験はその事を認めていない』と勘違いして批判しているようです。    また、もう1つ(1つではありませんがいちいち上げてたらきりがありませんの で)単純なミスがあります。  このような列車の思考実験で出てくる光源は、ほとんど必ずといって言いほど、 『列車の中央』にあります。何故ならば、ここから左右に光を飛ばせば、列車が止 まっている(と感じる観測者の)場合は、左右に同時に届くからです。またその逆 に、左右から同時に光を出せば、中央で同時に光を受け取るからです。  要するに、説明するのに都合が言い位置なのです。決して中央で“なければなら ない”というものではありません。                           _________    電球が列車最高尾にあったとします。この時、前後 |○        |  同時に光を届かせるにはどうすればいいかというと、 |○        |  列車の長さを光速で割って、そのタイムラグだけ2つ |_________|  の電球の光らせる時間をずらせばそれでいいのです。   ○○   ○○    単にそれだけです。                                例えば地球上にいて、地上と月を同時に2つの懐中電灯で照らすにはどうしたら いいかと考えると、地球と月の距離は分かっていて光速で1.3秒かかるのですか ら、まず先に月を照らしておいて、1.3秒後に地上を照らせばいいだけですネ。  まあ、地球と月のちょうど中間に観測者が入れば、いちいち計算せずとも『同時 に地球と月に向けて光を出せば』よく話が簡単になりますので、思考実験の場合は こちらを採用する訳です。    思考実験のように勝手に観測者を配置できる場合はともかく、実際の場合は、観 測者をちょうど中央に置くなんて事が不可能な場合が多々あります。例えば『各国 に置かれた原子時計の時刻合わせ』なんてのがそうです。  思考実験ならば、地球の中心から光を発すればいい・・・てな解決法があります が、そんな事は不可能です(^_^;)。  基準となっている原子時計は7つありまして、フランス、スイス、イギリス、ド イツ、カナダ、アメリカ(には2つ)にあります。ヨーロッパ一帯とアメリカにあ る事になりますが、時計を合わせるという目的で、わざわざ大西洋に船を出すよう な無駄な事はしません。  どうするかというと・・・理屈はすぐわかると思いますが、それぞれの距離を測 量しておいて、イギリスからアメリカへ0時の原子時計の時報が届いた時、その時 報は(アメリカ−イギリス間/光速)の分だけ遅れて届いているとして計算してや ればいいだけです。実に簡単ですね。    話が長くなりましたが、著者はこのような時間合わせは不可能であると結論づけ ているのです。タイムロスを予め計算に入れて時刻を合わせるという方法に著者は 気付かなかったのでしょうか?    余談ですが、アメリカとヨーロッパの間の時刻合わせは常に行われていて、これ ら7つの時計の平均値が世界の標準になっています。で、もし著者のいうように、 『慣性系と静止系は区別できる。静止しているのか等速度運動か区別できる』とい う事ならば、この時計を使えば検証可能です。    地球が秒速30kmで公転していて、地球そのものも自転しています。大西洋の 真ん中に太陽がある時に時計合わせをしたとしましょう。次にその反対の夜中に時 刻合わせをしたとしましょう。公転を考えるとイギリスとアメリカの立場は逆転し ます。昼間はイギリスの方が公転の前面になっていますが、夜はアメリカの方が前 面です。  時刻合わせ信号がグリニッジ       昼         夜      から出ているとして、アメリカ      ___       ___     でそれを受け取るとすれば、昼     /   \     /   \    間の場合は、アメリカがこの時    /イ   ア\   /     \   刻合わせ電波をお迎えして受け    |      |  |      |   取る事になりますから、時刻合   ←|      | ←|      |   わせが、早めになってしまいま    |      |  |      |   す。夜はその逆で遅れてしまい    \     /   \ア   イ/   ます(著者の主張によればね)。    \___/     \___/       このズレは僅かですが、6μsのズレとなります。で、時刻合わせをしている標 準時計の精度は0.1μsですので、もしこのような変動があれば即刻分かります。 ですが、そのような変動(日変化)は今まで一切検出されておりません。                            axion    − アインシュタインの相対性理論は間違っていたは間違っていた 終章 −   【長さが短くなる公式】                                        著者は『長さの縮みの説明に、時間の遅れの公式を使うとはけしからん』と主張 しています。これらの公式にはどちらが主でどちらが従という関係はありませんか ら、理論の無矛盾性を説くにはどのように使ってもかまいません。  著者の『証明になっていない』という言葉を、実験的な証明にはならないという 意味だと解釈すればその通りです。これはニュートン力学でも他の理論でも同じ事 です。だからこそ実験で確かめる必要があるのです。   【光が止まって見える?】    またまた『光そのものが移動している姿は見えない』という主張です。ここに書 いてある事は一ヶ所を除いて当然の話であり、相対論でも当然ながら否定したりし てない部分です。  一ヶ所というのは、『相対論を使うと、光速で飛ぶ電球から出る光は超光速で飛 ぶ事になってしまう』という話だけです。かなり前の方で著者のこの主張は間違っ ている事を計算したと思います。   【列車が縮む】    いままでもそうでしたが、著者は列車に乗って移動している人の見る立場と、外 に残っている人の立場を分けずに考え、この2つを分けて考える相対論の説明を否 定しています。                          __________    何度も出てきたものですが、プラットホームの   |         |   中央から出た光が左右対称にBとB’に進みます。  |         |→ そして、列車に目をやると、右向きに走っている   |B  ←○→  A|   ので、後部に光が先にあたります。         | __    __ |                             ̄○○ ̄ ̄ ̄ ̄○○ ̄    著者の反論は、これを列車内で見ると(外で見 ______________ れば、必ずBの方に先に届くのに)、AとBと同    プラットホーム     時に光が届くとするのはおかしい! というもの    B←  ・  →B’   です。                                      これは反論になっていません。特殊相対論は、2つの立場はどちらが動いていて どちらが止まっているのか分からないという公理から理論を組み立てている訳で、 公理が『常識に反する』と述べても反論にはなりません。このような事が成り立つ ように特殊相対論は組み立てられている訳ですから、反論するとすれば次の2点。    ・ 数学的なパラドックスを捜す。理論そのものに矛盾点はないのか?  ・ 理論値と実験値との比較をする。   です。「公理が常識的におかしい」と叫んでも反論にはなりません。もちろんこの 公理に従って計算すると、超光速度が出てくるというような事があれば反論は出来 ます(無矛盾であるかの検証)。  こちらの方も著者は色々と述べていますが、尽く的を外しています。   【質量の増大について】    素粒子の加速や減速を計算する場合に特殊相対論を使っていいのかという反論が また載っています。速度の式を時間微分して加速度の式にするだけですので、簡単 に拡張できます。  素粒子の運動の計算はもちろんこれで行っています。著者のような定性的な疑問 だけでなく、実際に定量的に計算し、巨大加速器を動かしているのです。  これに対する著者の反論はつぎのようなものです。   >  典型的な例が素粒子の寿命とかその質量の増大とか言う、あのこじつけで > す。本当は流体力学や電磁気学、摩擦力学、衝突の力学などを駆使してコン > ピュータで計算すれば別の結果が出るのでしょうが、相対性理論を使って煙 > に巻いていた方が簡単でいいから、無理矢理こじつけているのです。    むりやりこじつけた間違った計算で、電子をうまく補足して実際に加速器が運転 できますか? 自然が『人間のこじつけ』に合わせてくれますか?    煙に巻くというのは、なにやら難しそうな事を述べて、具体的な計算や方法は何 もしゃべってくれない場合の事を言います。電子の加速の仕方や、光速度に近くな った時の加速器の具体的なシンクロの仕方は、相対論の教科書に具体的に書いてあ ります。  ですが、この本では、   >  本当は流体力学や電磁気学、摩擦力学、衝突の力学などを駆使してコン > ピュータで計算すれば別の結果が出るのでしょうが・・・   とだけ書いてあり具体的な方法は何一つ書いてありません。煙に巻くというのはこ ういう事をいいます。    ちょっと話は変わりますが、ロケットのように単独の物体が飛んでいる場合、質 量が増大するというのは(著者の主張とは別の次元で)本当は間違っています。実 際に“重く”なる訳ではありません。   【E=mc^2について】    多々気になる部分はありますが、これは一言でケリがつきます。『太陽や原爆の エネルギー源を説明せよ?』と問うだけです。    それから、著者は静止質量を虚構のものとして述べています。やっぱり著者はマ ッハ原理に対して反論してますね。質量も宇宙全体に対して相対的であるべきだと いうマッハの主張はアインシュタインも反論した部分ですから、著者の主張はアイ ンシュタインの主張と同じです。   【回転光源のパラドックス】    見掛けの超光速は存在するという事を述べているだけです。例えば月の軌道上に グルリとスクリーンを張り、地球から1秒1回転する懐中電灯で照らすと、そのス クリーン上の光は光速度以上に回っていると観測されるという事です。そりゃそう です。  動いている光線スジは1つのものではなく別々のものですから、情報を伝える事 はできません。ある場所から発した光が別の場所に届くからこそ情報が伝わるので す。懐中電灯をグルッと回しても、上に発射した光と下に発射した光は別物ですか らなんの情報も伝えません。   【ライトバリア】    進行方向の真横に発射されたレーザー光は、どのような慣性系から見ても真横だ と述べてます。以前もシンクロトロン光等でこういう事は実験的に無かった事を説 明しましたし、電子や陽子の塊であるレーザーも同様であるとだけ述べておきまし ょう。   【誤った理論展開】    これが最後の章です(第二部もありますが、こちらは読み物ですので)。著者の 思考が非常によく分かる文が載っています。  著者は、アインシュタインがガリレオの相対性原理とマックスウェルの電磁気学 を「ごちゃまぜ」にしたと言う事を述べて・・・   >  自然界には自然の摂理というものがあります。やってはいけないことは、 > やってはいけないのです。二つあるものは、二つあるのです。男性と女性な > のです。動物と植物です。ニュートン力学とマックスウェル電磁気学なので > す。   と続けています。  すなわち著者によれば、ニュートン力学とマックスウェルの電磁気学は『手を加 えてはならないもの』と定義される事になります。著者にとってそれは“タブー” なのです。    要するに『私はそういう“仮定”は認めない』と言っているに過ぎません。これ では「嫌だから嫌だ」といった某小説家みたいなモンです(^_^;)。    物理に限らず、科学には『タブーな仮説』は一切ありません。『タブーな理論値』 ならば存在します。実験結果と合わない理論値です。私は今回の書き込みで、相対 論は正しいと述べたのではなく、著者の結論は間違っている事を述べただけです。             ^^^^                         ある物理学者が、家の前にある馬の蹄鉄のおまじない(踏んで家に入ると幸福に なるそうな)を他人から、「まさかそんなおまじないを信じている訳ではありませ んよね?」とたしなめられた時に、次のように答えたそうです。  「もちろん信じてなんかいませんよ。でも、実際に幸福を呼んでくるようですが ね・・・」    科学の理論なんてものは『戦時中の不可侵条約』みたいなモンで、信じる信じな いは意味がなく、『まだ守られているか否か?』という事だけが重要なんです。                            axion   P.S.   やっと終わりました。駄文をダラダラと書いて申し訳ありません。      次からはもっと建設的なテーマの話をしたいですね。